「料理の式」による新しい料理の開発 解説その2
前回のつづきです。
【方法】
「料理の式」の定義について
「料理の式」はレシピに基づき、フランスの物理化学者エルヴェ・ティスの提唱した「食材の状態」(気体:G、液体:W、油脂:O、固体:S)および「分子活動の状態」(分散:/、併存:+、包合:⊃、重層:σ)の二つの要素で式化します。
なお、式を作成する上で、私たちが以下の式の作成基準を新たに設け、基本これに従い式化を行います。
また、式化する料理は、完成した(提供される)状態を基準として作成しました(例:餃子は醤油などにつける前の状態、すきやきは卵液につける前の状態)。
「サイエンスアゴラ2016」における取り組み
サイエンスアゴラにおける、料理の式化の例として、BAKEさんの「BAKE CHEESE TART」を題材に選びました(以下、BAKE OPEN LABさんで素敵なポスターを作って頂きました)。
チーズタルトをざっくりと見ると、下のタルト部分と上のチーズが重なっている構造をとっています。わかりやすくするため、タルトを“青色”の粘土、チーズを“黄色”の粘土で模式的に表すと次のようになります。
これを料理の式で表すと、
「タルト(青色)」σ(重層)「チーズ(黄色)」
となります。
「タルト(青色)」と「チーズ(黄色)」という二つの固体Sの食材(粘土)だけを使って、「分子活動の状態(/、+、⊃、σ)」やその組み合わせを変えることで、新たな造形のお菓子を作成を行いました。
以下、四つの「分子活動の状態」のイメージ図です。
つづく。