“人工イクラ”が「オリーブオイル・キャビア」になって凱旋帰国!?
この前、スペイン、バルセロナのオリーブオイル専門店で買った「オリーブオイル・キャビア」を食べてみました。
クラッカーの上に、モッツァレラチーズとトマトと一緒に載せてみましたが、見た目がキラキラして綺麗ですね。
食感は、イクラと同じように“プチッ”と弾けます。風味はオリーブオイルそのままで、淡白なモッツァレラチーズやトマトとの相性は申し分ないですね。美味しかったです。
この製品のブランド名であり、社名でもある「CAVIAROLI」という会社は、バルセロナ近郊のEsparragueraという町にあるようです。
私が買ったベーシックな味の「エキストラバージン」以外にも、「チリ風味」「ローズマリー風味」「バジル風味」などの製品がバルセロナの店に並んでいました。
どれも魅力的でしたが、結構なお値段がしたので、1個しか買えませんでした。贈答用として重宝がられそうです。
(CAVIAROLIより)
オリーブオイル・キャビアのような食品の“カプセル化”技術は、「世界一のレストラン」に何度も輝いたエル・ブジ(エル・ブリ)のフェラン・アドリアによって一躍有名になりました。
この「CAVIAROLI」の開発には、彼のテクニカル・ディレクターの方が携わっているようです。
また、2011年には、オーストラリアのファインフードのショーで、このオリーブオイル加工品が "Best new Foodservice product award"を受賞しています*2。
このちょっと魅惑的なオリーブオイル・キャビアですが、フェラン・アドリアが来日した際、日本にあった「人工イクラ(人造イクラ)」の製造技術に目をつけたことが発端とされています。
フェランは、オリーブオイルだけでなく、メロンジュース、ソース、カクテルなどの素材も“人工イクラ化”し、口の中で瞬間的にはじける「カプセル」として世界中の食通を驚かせました。
元祖、人工イクラは、実に今から約30年も前の1980年代に、富山県魚津市の日本カーバイド工業が世界で初めてその生産に成功しています*3。
アルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を利用した人造イクラ(人工イクラ)作りは、今では子供向けの理科実験としても広く行われており*4、専用のキットも売られています*5。
日本発のこの「人工イクラ製造技術」が、現在、スフェリカス、カプセルという名で日本のレストランでも「逆輸入」されているようです*6。
私は思うのです。「なぜ、オリーブオイル・キャビアのようなものが、日本で生まれなかったのか?」と。
それはきっと、人工イクラが日本では、コピー食品、イミテーション食品として「まがいもの」に見られていたからでしょう。
人工イクラに偏見がなく、食に敏感なアンテナを立てているフェラン・アドリアのような外国の料理人にとっては、ただ純粋にこの製造技術に驚いたのではないでしょうか。だから、いろんな素材に応用しようという思い立ったのではないかと思います。
日本人が生み出した素晴らしい技術、日本では当たり前のように見えて実は海外にはないすごい技術が、この「人工イクラ」以外にもたくさんあります。
特に、食べものの分野は、日本人の“食“への「クレイジーさ(いい意味で)」があるため、世界で通用する技術が国内にわんさと眠っていると感じます。
日本のコンビニに普通に並んでいるお菓子でさえ、世界的に見たらハイクオリティで変わったものがたくさんありますし…。
自分で自分のことを客観的に見えなように、自国の強みや特徴も内側からだとなかなか見えにくいものです。
だからこそ、定期的に外に出て、チャレンジすることを忘れないようにしたいものです。
ということで、「オリーブオイル・キャビアの軍艦」に“チャレンジ”してみました。
味は……、まぁ、ダメでした…。
*1:Spanish Chefs Cook With Dirt, Dazzle Avant-Garde at Weekend Demo -- Grub Street New York
*2:Caviaroli ® | Gordon's GourmetGordon's Gourmet
*3:http://ja.wikipedia.org/wiki/イクラ
*4:人工イクラ(人造イクラ)で遊んでみよう① - Yahoo!知恵袋
*5:【楽天市場】昆布酸 > イクラ風ゼリー実験セット:海の恵みはキミカから
*6:調理科学を駆使した料理~辻調の講習会にて: C'est bon !