なぜ結婚すると太るのか―テストステロンの功罪―
結婚後に男性が、◯◯キロ太ったという話をよく耳にします。”結婚太り”または”幸せ太り”といわれ、よく周囲からからかわれる格好のネタとなります。旦那さんは、自分のお腹まわりのたるみの原因を「奥さんの手料理がおいしくて」などと食事に求めようとしますが、そんな単純な話ではないですよという話。
私が高校時代からのファンであった竹内久美子さん。彼女の新書「女は男の指を見る」の中で、「ハゲの発するメッセージ ―テストステロンの話」という章があります。そのエッセンスを抜き出して、さらに私の考えをふまえたものを書いてみます。

- 作者: 竹内久美子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/04
- メディア: 新書
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男としての魅力を備えさせてくれるのは、男性ホルモンの代表格であるテストステロン。男性の髪が薄くなる要因はこのテストステロン(もう少し詳しく言うと、一歩進んだジヒドロテストステロン)の働きが強いためです。
テストステロンには筋肉を増強し、脂肪を燃やす働きがありますが、このテストステロンのレベルは年齢と共に低下し、50歳代では思春期の半分にまで落ち込んでしまいます。
年齢を重ねると、若い時と同じ量食べても太りやすくなりのは基礎代謝が低下するためであるといわれていますが、その要因の一つがこのテストステロンの低下なのでしょう。
このテストステロン・レベルは、”男として魅力”ある職業、例えば、舞台俳優、フットボール選手、消防士などの職業の人ほど高いようです。
また、テストステロン・レベルは、ちょっとしたことに反応して変化するようで、スポーツ選手が試合で自分のチームが勝ったり、株のトレーダーが取引をしている最中など、いわゆる”戦闘状態”にあるときに高まります。
つまり、男性が女性を口説いている時は、テストステロン・レベルはぐーんと上昇し、体脂肪をメラメラと燃やしていますが、結婚して「魚を釣った」状態になると、テストステロン・レベルは急降下し、脂肪は燃焼せずに、脇腹に粛々と溜まってしまうというメカニズムでしょう。
実際、アメリカ空軍の士官を対象とした研究によると、テストステロン・レベルは結婚すると下がり、離婚した場合、元に戻るそうです。
興味深いのは、テストステロン・レベルが高ければ高いほどいいかといえばそうではなく、テストステロンには免疫力を抑えてしまうという負の効果があるようです。松田優作氏や石原裕次郎氏のような、いかにもテストステロンが高そうな人が、早くに亡くなってしまったのは、テストステロンの免疫抑制効果にその原因があったのかもしれません。
テストステロンは、「男らしさ」をとるか、「寿命」をとるかという難題を男性に投げかけているようです。