健康食品市場の繁栄と衰退
金融危機で深刻な不況に突入した米国ですが、健康食品市場は極めて好調のようです。2008年度データでは、6%程度の成長が見込まれると予測され、「不況のかけらもない」と報告されています。
健康食品の分野は日本が世界で最も進んでいるので、健康志向の高まりによってアメリカでも日本と同様のことが今後起こるでしょう。
例えば、日本の高血圧対策として、低塩、減塩食品というのは市場にごく普通にあふれていますが、ここ数年米国でも低塩食品がやっと注目されているようです。米国で低塩(Low Salt)、低ナトリウム(Low Sodium)と表示した加工食品の数が2007年は2002年と比べて、2倍以上に増加しています。
わが国の健康食品市場はこれまで、右肩上がりで成長してきましたが、ここ3年(06~08年)は連続でマイナス成長になりました。
健康食品市場の推移(食品と開発より)
縮小した理由としては、薬事法や健康増進法による規制が強化され、新しい製品が市場に出にくくなっていることなどが考えられます。しかし、日本社会の高齢化の進行と健康ニーズの高まりは今後も間違いなく続くでしょうから、潜在的な健康食品市場の伸びしろはまだまだあるでしょう。
健康食品市場のこれまでの高成長の背景には、TVの健康番組や健康情報誌の影響が大きく、また、近年のマイナス成長はこれまでの健康番組の捏造事件が少なからず影響を及ぼしていると考えられます。
今まで(今も?)怪しい健康食品はたくさんありましたから、規制強化により、まっとうな健康食品が市場にあふれるのは極めて正しい方向に進んでる気がします。日本の健康食品は、消費者の目が成熟してきたこともあり、量的拡大から質的向上に変化したともいえるでしょう。