食べ残しを減らすと食料自給率がアップするのか?
昨日紹介した「Food Action Nippon」のウェブサイトに食料自給率を高めるために、私たちができる5つのアクションが以下のように提案されています。
1.「いまが旬」の食べものを選びましょう
2.地元でとれる食材を日々の食事に活かしましょう
3.ごはんを中心に、野菜をたっぷり使ったバランスのよい食事を心がけましょう
4.食べ残しを減らしましょう
5.自給率向上を図るさまざまな取組みを知り、試し、応援しましょう
私が気になったのは、4の「食べ残しを減らしましょう」という文章。説明文には
開発途上国で飢餓が問題となっている中、日本では食料を大量に輸入して大量に捨てています。
この現状を踏まえ、家庭においても、食品の無駄な廃棄、食べ残しを減らしましょう。
(食料の無駄を減らすことは、食料輸入を少なくすることにもつながります。)
と書かれています。食べ残しを減らすと食料輸入は少なくなるなるでしょうが、国内で生産された食べ物の消費も少なくなるので、食料自給率アップに必ずしも繋がらないのではないでしょうか。
食料自給率とは、国内で消費される食料のうち、どの程度国内産でまかなわれているかという指標です。その自給率をアップするには、輸入食料の食べ残しは減らすにしても、国内産の食料はたくさん食べ残すぐらい消費した方が原理的にはいいはずです。
中高年になるとカロリーの取り過ぎによる肥満が社会問題なっています。外食の機会が多い人にとって、外食はたいていボリュームが多いですから、出されたものをもったいないからいって全部食べるのはカロリーの過剰摂取になり御法度です。カロリーの調整には、肉や魚といったおかずを減らすよりも、ごはんなどの主食を減らす方が、栄養上理にかなっています。もし、おかずではなく、ご飯の食べ残しを減らす方向に進めば、食料自給率はむしろ低下するのではないでしょうか。つまり、主食の米の自給率は比較的高いですが、肉などのおかずであるタンパク質系食品の自給率は低いためです(飼料はほとんど輸入に頼っています)。
食べ残しを減らすのは当然のことですが、食料自給率アップとは根本的に別の問題ではないでしょうか。