フューチャーフード、昆虫
今日の日本経済新聞の文化欄に「昆虫料理は『未来の糧』」という記事が出ていました。「エコロジーにかなうレシピ、普及めざし研究」という副題で、内山昭一氏の昆虫料理研究会の活動が書かれています。また、ブログでもその活動が報告されています。
昆虫食というとゲテモノ食いという印象を抱きがちですが、記事に書かれた内山氏のまじめな取り組みに私は感動すら覚えました。昆虫食を続けていく過程で、多くの人にさまざまな偏見を抱かれたと思いますが、「食となにか?」ということを考えさせるすばらしい取り組みを行っています。
昆虫が栄養豊富な食材であることは明白でしょう。動物性ですからタンパク質のアミノ酸スコアは、卵や牛乳と同じ100%のはずです(畑のお肉と呼ばれる大豆は86%)。小さい体で動き回るわけですから、その体に栄養が詰まっていることは容易に想像ができます。
私は小さい頃田園地帯で育ったので、イナゴの佃煮はよく食べていました。そのため、昆虫食にはさほど抵抗がありません。小学校時代は虫取りに命を賭けていた時期もあったので、私は昆虫を比較的身近な存在だと思っています。
しかし、私の妻は大の虫嫌いで、部屋にちょっとした虫が入ってきただけでパニック状態になります。この記事を読んだ後、妻に「わが家でも、昆虫料理やろうか」といったら露骨に嫌な顔をされました。
昆虫を仲間と思っている私でも、カブトムシやクモなどを食するのはやはり抵抗があります。なぜ抵抗があるのか考えたとき、「人間は脳で食べている 」(伏木亨・著 ちくま新書)という本を思い出しました。私の脳が彼ら(カブトムシたち)が口に入るのを拒絶するのです。
食習慣はなかなか変わらないものです。年を取れば取るほど、人はこれまでとは違った食事はしなくなるでしょう。昆虫食はエコロジーなフーチャーフードだといっても、残念ながら、今虫嫌いの人には見向きもされないでしょう。是非、頭が柔軟な子供の頃に、給食でイナゴの佃煮や蜂の子などを出してもらいたいと思います。
現在、農と食を繋ぐ過程がブラックボックス化した結果、食の偽装といったさまざまな問題が噴出しています。虫たちが食卓に上がれば、原型をとどめているため多くの人が生々しく感じることでしょう。しかし、本来食品とは「生き物」ですから、昆虫食はまさに生命を頂くということを再認識させる良いきっかけになるのではないでしょうか。自分で虫を捕ってくれば、「産地偽造」などとは無縁の話ですしね。

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