夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

フードペアリングとファッションの“奥深さ”にある共通点

先日、ある集まりで、以前アパレル関係、今は食品関係にお勤めの男性の方とお話する機会がありました。その話の中で興味深かったことを一つ。 その集まりの最初で、私が「フードペアリング仮説」について、ちらっとお話しました。 フードペアリング仮説とは…

「今を生きる」人こそ、未来を考えよう

機械化や人工知能の進歩によって、近い将来「消える仕事、食えなくなる仕事」などをよく耳にするようになりました。 現在、働いている人は今の職業、学生などはこれから就く職業が、未来永劫安泰だと思っている人はおそらく少ないでしょう。今後、多くの人が…

未来を思う原動力とは? 〜「食」への不安と期待〜

最近、「未来」に関する書籍やTV番組などが多いように感じます。私が興味あるので、ただ目に留まるだけなのかもしれませんが…。 現代の未来への社会的関心は、世界のグローバル化の行方、人の予想を超えた新デジタル・新テクノロジーの登場、異常気象による…

「なぜ凍結卵は固まるのか」から「次の凍結卵の可能性」まで

昨年からブームとなっている「凍結卵」。だいぶ市民権を得てきた印象を受けます。さらに、凍結卵で「卵黄のお刺身」など新ジャンルの料理の開発も進み、凍結卵の世界はまだまだ大きな広がりを見せそうな勢いです。 もともと、卵黄が固まるゲル化という現象は…

“超遠心分離”目玉焼き 食材を“分解する”という調理アプローチ

以前のエントリーで、生果汁を遠心分離して、密度差のある「“遠心分離”アイスキャンディー」を作りました。“遠心分離”アイスキャンディー - 夜食日記 昔は入手困難だった世界中の食材が、現在比較的手に入りやすくなることによって、食材による料理の差別化…

「料理と科学のおいしい出会い」の中国語(繁体字)版が発売

昨年6月に化学同人さんから「料理と科学のおいしい出会い」という本を出させていただきましたが、昨年末頃、台湾の出版社から中国語の繁体字(はんたいじ)版の翻訳オファーをいただいていました。 その翻訳本が本日、化学同人の編集者さんから送られて来ま…

“遠心分離”アイスキャンディー

暑い日が続いています。暑すぎるとアイスクリームよりもアイスキャンディーが食べたくなるものです。 ラボで100%果汁を遠心分離したアイスキャンディーを作ってみました。 ひとまずスイカ、メロン、キウイフルーツ、桃、オレンジを5種類を準備。 家庭用ジュ…

NEW FOOD なにを、なぜ、どう、食べる?@WIRED

読みました。 おもしろかったです。WIREDさんぽい切り口の「未来の食」が並んでいます。ひとつひとつの特集で、ブログネタがいくつも書けそうです。 オフィシャルのサイトで概要は感じ取れるでしょう。 <a href="http://wired.jp/magazine/vol_17…

額装をいただきました

以前、『新潮45』で対談したビートたけしさんとの額縁入り写真を編集者の方から送って頂きました。 写真を見て、対談時のたけしさんの言葉がいくつか頭にフラッシュバックされました。 なんだかんだ一日中食べもののことばかりを考えている日がよくあること…

玉ねぎではなく長ねぎを“あめ色化”してカレー用にする方法

前回のエントリーで、「玉ねぎのあめ色化のスピードアップ」を図りました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/07/05/215545" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/07/05/215545">カレーの玉ねぎの“あめ色化”をスピードアップさせる方法 - 夜食日記</a> アルカリ性側でメイラード反応が促進することから、玉ねぎにアルカリの塩である「重曹」を加えて炒めてみたとこ…

カレーの玉ねぎの“あめ色化”をスピードアップさせる方法

カレーはいつでもおいしいですが、暑くなるとよりカレーが食べたくなります。 本格的なカレーを作ろうとすれば、「玉ねぎを炒める」という作業は必須でしょう。玉ねぎをあめ色になるまで炒めると、甘さと独特の香りが生まれます。 しかし、玉ねぎをしっかり…

「都民の備蓄推進プロジェクト」

昨日、舛添東京都知事の記者会見において「自然災害に備えた自宅での備蓄について〜都民の備蓄推進プロジェクト〜」が公表されました。 &lt;a href="http://www.bousai.metro.tokyo.jp/1001855/1001884/1001890.html" data-mce-href="http://www.bousai.metr…

お腹にいる“下宿人”が気になる

人の願望はいろいろありますが、「健康」は古今東西を問わず、普遍的に切望されているもののひとつでしょう。とくに健康が損なわれてしまった場合はなおさらです。 私たちの普段の生活で、その健康に関係する二大ファクターといえば、「食事」と「運動」でし…

『スター・ウォーズ』のあの人を、森永『ダース』のドットで描く

5月4日は、『スター・ウォーズの日』ということをご存知でしょうか。由来は、劇中の名セリフ“May the Force be with you”と“May 4th”をかけていることから来ているそうです。 また、2015年12月に、新シリーズ3部作の第一弾『スター・ウォーズ エピソード7/…

カレー「専用米」の登場―料理のゴールを考えた『料理育種』

私たちが主食としている「一般米」と日本酒用の「酒米」の品種が違うことは多くの人が知っているでしょう。しかし、「カレー専用米」、「寿司専用米」、「リゾット専用米」が品種改良によって登場していることはご存知でしょうか。 カレー専用の米「華麗舞」…

なぜ多くの人々が料理の写真を撮って共有するのか?

以前のエントリーで、以下のような記事を書きました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/03/19/214336" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/03/19/214336">レストランでの料理の写真撮影は、なぜ問題なのか? - 夜食日記</a> レストランでの写真は、TPOでしょう。 写真を撮るのは、食べると消えてなくなる料理を記念に残したいという気持ちもあるでしょうが、Twit…

現代フランス料理科学事典

ご恵贈いただきました。 現代フランス料理科学事典 (栄養士テキストシリーズ) 作者: ティエリー・マルクス,ラファエル・オーモン,的場輝佳,八木尚子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/03/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見…

レストランでの料理の写真撮影は、なぜ問題なのか?

レストランなどでの外食時に、料理の写真を撮る人を以前よりもよく見かけるようになりました。 レストランでの写真撮影に対して、私はほとんど気にならないものの、全く気にならないわけでもないという感じです。レストランの種類などによってもケースバイケ…

焼き芋はどこまで甘くなるのか?―低温加熱による限界への挑戦

スーパーの入口付近などで「焼き芋」が売られているのをよく目にしますが、今巷でちょっとした「焼き芋ブーム」なのだそうです。私も買いたいと思う時に限って、だいたい売れ切れています。 サツマイモは、「蒸し芋」よりも「石焼き芋」にした方がおいしいの…

絶望と希望と願望と宿命―4年目の3.11に思うこと

東日本大震災から4年。3.11後の混乱期に大学に入学してきた新入生が、来週卒業式を迎えます。あの年の講義開始は1ヶ月遅れ、入学式は約半年後の9月末でした。 絶望と希望は表と裏 人が絶望の淵に立たされた時、そこから生きていくためには、希望が必要…

「パスタのゆで方 大実験!」@dancyu

先日、『dancyu』の最新号を送って頂きました。 dancyu(ダンチュウ) 2015年 04 月号 出版社/メーカー: プレジデント社 発売日: 2015/03/06 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 巻頭の特集はパスタ。春が近づいてくると、私も「パスタララララン♪」っ…

おいしさの理想―食の「真・善・美」

おいしい料理に興味を抱く人は、たくさんいることでしょう。 おいしさは美味しさ、すなわち「美しい味」と書きますが、文学、美術、音楽などの美が大学で扱われているのに対し、食の美についてはまだしっかりと体系化されて扱われていないのが現状です。 人…

新印象派の科学への接近と解放―総合芸術としての料理の未来

先日、東京都美術館で行われている「新印象派―光と色のドラマ Neo-Impressionism, from Light to Color」を観ました。 新印象派 光と色のドラマ 見どころより一部抜粋。 印象派は、揺れる水面や陽光のうつろいなど、自らの目に映る世界を描き出そうとし、そ…

料理と芸術のおいしい出会い

私たちは、なぜおいしい料理に魅了されるのでしょうか? たとえば、レストランでの食事はとても魅力的です。整然と並べられ食器、調和のとれた場の雰囲気。テーブルは明るく照らし出され、洗練されたサービスによって鮮やかに盛りつけられた料理が運ばれてき…

ビートたけしさんと対談しました

本日発売の『新潮45』に、対談記事を掲載して頂きました。 新潮45 2015年 03 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/02/18 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る

トランスグルタミナーゼによる「しらすバーガー」の創作

食品成分を“つなぎ合わせる”酵素の一つに、「トランスグルタミナーゼ」というものがあります。 以前、このブログでも紹介しました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2013/09/03/215737" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2013/09/03/215737">多彩な“食感”を生み出す「トランスグルタミナーゼ」の分子ガストロノミーへの応用 - 夜食日記</a> トランスグルタミナーゼを使…

なぜホット・アイスクリームは高温で固まり、低温で溶けるのか?

一連の“ホット・アイスクリーム”のエントリーのつづき。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/21/230554" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/21/230554">“ホット・アイスクリーム” 温めると固まり、冷やすと溶ける - 夜食日記</a>

もうすぐ本が出ます。『「もしも」に備える食』

管理栄養士、食育指導士、防災食アドバイザーの今泉マユ子さんと共著で『「もしも」に備える食 災害時でも、いつもの食事を』という本を出すことになりました。 「もしも」に備える食 災害時でも、いつもの食事を 作者: 石川伸一,今泉マユ子 出版社/メーカー…

「節約遺伝子仮説」vs.「料理仮説」

以前読んだ本で、おもしろいなと思ったこと。 火の賜物―ヒトは料理で進化した 作者: リチャード・ランガム,依田卓巳 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2010/03/26 メディア: 単行本 購入: 6人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (17件) を見る …

月刊『化学』に寄稿しました

もうすぐ発売になる化学同人さんの月刊『化学』2015年2月号に、解説記事を寄稿させていただきました。 タイトルは、「夢の卵"デザイナーエッグ"を目指して ──個人の体質に合わせたテーラーメイド食品の開発」というものです。 <a href="http://www.kagakudojin.co.jp/book/b193052.html" data-mce-href="http://www.kagakudojin.co.jp/book/b193052.html">月刊化学 2015年2月号 - 株式会</a>…