夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食と社会

食フェス乱立時代 ーB-1グランプリから万博までー

先日、厚木で行われたB級グルメの祭典「B-1グランプリ」。来場者は史上最多の43万人にも上り*1、優勝した「甲府鳥もつ煮」の経済効果がちょっと凄いようです*2。 B―1制覇の効果絶大、甲府鳥もつ煮注文5倍 甲府鳥もつ煮が、神奈川県厚木市で開かれた全国の…

「食のプロ」になるのが難しい理由 その2

食のブラックボックス化 前回述べた「食べ物の”流れ”」 生産 → 製造・加工 → 保蔵・流通 → 調理 → 摂食 → 消化 → 吸収 → 代謝ですが、普段私たちが目にする部分は、せいぜい真ん中の「流通 → 調理 → 摂食」であり、その前後は見えないブラックボックス状態で…

「食のプロ」になるのが難しい理由 その1

まず「食べ物の流れ」を考えよう 私の研究の専門は、分子レベルでの食品学と栄養学です。しかし、「食のプロフェッショナルですか?」と聞かれれば、決して「はい」とは答えられません。 その理由は、下に示した「食べ物が生産され、食べて栄養になるまでの”…

猛暑よ、さようなら 秋の味覚、はやく来い

わが家には、エアコンがありません。扇風機もありません。小さな「除湿冷風機」なるものはありますが、スイッチを入れると、前面から出る冷風以上に本体から熱を放出します。 今の家に今年の春、引っ越してきましたが、この夏の猛暑に新居は完全にサウナ状態…

なぜ「若者のビール離れ」が話題になるのか?

暑い日が続いていますが、無類のビール好きにとっては最高の季節です。 わたくし、飲み会ではほぼ最初から最後までビールです。とりあえずビール、もう一杯ピール、締めもビール。日本酒も好きですが、断然ビールが好きです。炭酸ののどごし、ホップの苦味、…

大人の食べ物

ここ数年、「大人」ブームが続いています。大人のための絵本、大人のためのゲーム、大人のための修学旅行などなど。 当然ですが、普段大人が使っているものにあえて「大人」は付けません。「大人のための車」とか「大人のための確定申告書」とかは、聞いたこ…

食べ物が美味しい土地ほど、郷土愛が強くなる!?

仙台は、昨日と今日「青葉まつり」でした。祭りの様子を見て感じたことを一つ。 日本人は他の国と比べると愛国心が薄いといわれますが、地方の祭りやJリーグの試合の応援などを見ると、生まれ育った土地への”郷土愛”は強くなっているような気がします。 郷土…

おはぎ力

一ヶ月ほど前のことですが、仙台市郊外の秋保(あきう)温泉に日帰り入浴に行ってきました。 途中、温泉街にある一見普通の食品スーパーの駐車場が大混雑。中に入ってみると、お惣菜コーナーに人だかり。客のお目当てはこれでした。 私は知らなかったのです…

おせち料理を食べる予定のない人 - 36%

クリスマスも終わり、今年も残りわずかとなりました。年末で何かと慌ただしい時期です。私はやっと年賀状も書き始めました。 年越しに向けて正月のおせち料理の準備に取りかかっている方も多いのではないでしょうか。ちまたでは料亭の高級おせちの販売予約が…

歩くトウモロコシ

昨日紹介した「雑食動物のジレンマ」で印象に残った文章を紹介します。 現在、私たちの食を支えている工業的食物連鎖は、ふつうはスーパーやファストフード店などにたどり着く。その鎖の始まりを突き止めようとすれば、様々な場所に行き当たることになるだろ…

モスの「国産バーガー」の疑問

先日、久しぶりに近くのモスバーガーに行き「国産バーガー」というものがあることを知りました。その登場時のニュースがこちら。 自給率向上へ官民タッグ ビジネスと消費牽引 昨年12月、ハンバーガー大手のモスバーガーが東京都品川区の本社で開いた新商品…

「学校の近くにファストフード店を開いてはいけません」

ロイターニュースから。 学校に近すぎるファストフード店に営業停止命令 英ロンドン東部のウォルサム・フォレスト区議会は20日、学校からの距離が近すぎたファストフード店を営業停止にすると発表した。英国の自治体がこのような決定を下したのは、初めて…

食品偽装疲労

今年の冬もインフルエンザが猛威をふるいました。今年は特に、タミフル耐性ウイルスが見つかり、また流行が3月にも再燃したことから、患者数も例年と比べて多かったようで、インフルエンザに関心が集まった年といえるでしょう。 しかし、一部の国では「フル…

「残酷な方法によらない」食品求めて騒動に

AFPBB Newsから*1。 「残酷な方法によらない」食品を使用すべし、豪市議会から「ティムタム」が消えた 【3月26日 AFP】オーストラリア・シドニー(Sydney)の市議会では、議会が行う行事などでは「残酷な方法によらない」食品を使用するという方針が新たに導…

食料品の格付けをするウェブサイトの登場

私たちの身近にある食料品について、もっと詳しく知りたいと思った人は多いでしょう。しかし、ウェブサイトで調べようとしても、その製品を作っている会社のホームページでは、都合の悪い情報は一切載せていないのが普通です。客観的で科学的、かつ商品ごと…

クローン牛に不安を抱くのはなぜか?

<クローン牛>「一般と同様に安全」食品安全委作業部会 1月19日20時57分配信 毎日新聞 体細胞クローン技術を使って生まれた牛や豚とその子孫について、食品としての安全性を検討していた国の食品安全委員会の作業部会(座長・早川尭夫近畿大薬学総合研究所…

「もったいない」と「食の安全」は両立するのか?

アメリカのレストランでは、食べ残った食品を持ち帰るための容器を置いているところは普通ですが、日本で残り物の持ち帰りをOKする店はまだ多くはないでしょう。食中毒など衛生上の問題をレストラン側が心配するからです。 以前、私の講義で学生に次のような…