分子料理・分子調理
最近は、料理好きな男子もまったく珍しくなくなりましたね。勤務先の大学にも「料理男子」たちがたくさんいます。元「料理“男子”」だった私もこの時代の好ましい変化に感慨深いものがあります。 本屋に行くと、そんな料理男子向けの雑誌がたくさん並べられて…
先週、私の誕生日で、大変ありがたいことに、研究室のラボメンバーに手作りの「卵型のケーキ」とプレゼントを頂きました。 「ケーキが卵型」なのは、私の専門が「卵の科学」だからです。2日がかりの力作だったそうで、「卵黄」部分のカスタードと生地の層が…
科学的な調理法を使う料理人として、「エル・ブリ」のフェラン・アドリアと同様に有名なのが、ヘストン・ブルメンタールでしょう。 ヘストン・ブルメンタールはイギリス生まれで、ロンドン西部のバークシャーにあるレストラン「ファット・ダック」のシェフで…
エルヴェ・ティスは、パリにあるフランス国立農業研究所の研究者で、調理のプロセスにおける物理化学的な研究で知られています。 私が、彼を初めて知ったのは、『フランス料理の「なぜ」に答える』という本でした。 ティスが著者であるその本の帯には、 料理…
私は、 料理(Cooking) 科学(Science) 芸術(Art) の“3つ輪”が交わる「融合領域」に強い関心があります。 スペインのシェフ、フェラン・アドリアの料理は、そのうち「料理」と「芸術」の2つの輪が大きく重なって見えます。しかし、「科学」の“輪っか”…
料理と科学の「接近」を考える上で、以下の3人から考えてみたいと思います。 フェラン・アドリア エルヴェ・ティス ヘストン・ブルメンタール フェラン・アドリア Ferran Adriàは、スペインのレストラン「エル・ブジ El Bulli」のシェフ。 エルヴェ・ティス…
「Modernist Cuisine」という料理本。とうとうやってきました。 これは、すごい! 今日届いたのですが、中身のグレードの高さに圧倒されました。写真の色鮮やかさ、随所にある調理道具ごと切った「断面図」、分かりやすい科学的視点。そして、予想以上に大き…
今週は、毎日会議が入っている会議ウィーク。特に今日は、午前も午後も“会議ざんまい”でした。 会議が終わった夕方頃、大学の個人ポストに郵便物を取りに行くと、Amazonで以前注文したものが届いていました。 「Molecular Cuisine: Twenty Techniques, Forty…
1ヶ月ぐらい前のことですが、来年度2013年度の学部と大学院の入学希望者用のパンフレットが完成していました。 今回、大学院用のパンフレットを紹介します。 宮城大学のパンフレットでは、毎年、学生が表紙デザインをするのが恒例となっています。今回の表…
前回のつづき。 プロローグで始まった「料理を“ワッフル化”する」の一連のブログ。このエピローグで締めたいと思います。 電気店に残された「たこ焼き器」 3.11東日本大震災で被災し、ライフラインが断たれた後の話から。 ライフライン途絶後、私の家は電気…
年度末、京都と名古屋での学会をはしごし、仙台に昨日戻ってきました。私の研究室所属の院生と学部学生の口頭発表デビューがありました。いい経験になったことでしょう。 私もいろいろ「インプット」に励んだ学会シーズンでした。その中で、興味深かった京都…
ウコン(ターメリック)を用意します。 薬包紙の載せ、まずその色をよーく観察します。 黄色(からし色)です。 1品目 ターメリックを皿に移し、田楽用のこんにゃくと並べ、何かが起こりそうな淡い期待感を抱きます。 ターメリックをこんにゃくに、“これで…
10月号のクーリエ・ジャポンで「おいしいトーストを焼く方程式の大発見」という小さい記事を発見。私にとってかなりツボの記事です。 元ネタはUKのデイリー・エキスプレスの記事から*1。 イギリスのパンメーカー「フォーゲル Vogel」に依頼された研究チーム…
今回の東日本大震災で被災された地域、また買いだめによる食料品不足が起こった首都圏等では、少なからず「食」の実態が浮き彫りにされたように感じます。 実際に仙台で被災した一食品研究者として、震災時に食べることの意味、特に食の「おいしさ」について…
一昨日の3月7日、朝日新聞グローブの第59号に「料理と科学が出会う時」という特集記事がありました。記事は、Web版でも一部ご覧になれます*1。 目次は次のようなものです。 [米国・マサチューセッツ州]黒いエプロンには、数式があしらわれていた [ス…
このブログで何度も出ている、大学1年生対象の「基礎ゼミ」の活動の一部が、「香港経済日報」に掲載されました。 「食之進化(食の進化)」というタイトルの記事で、主に「分子料理」のことについて書かれています。 大きく掲載された写真は↓、私が以前この…
これまで*1、*2、*3の続き。 カナダに研究留学中、ある一人の日本人学生と出会いました。日本の高校を卒業した後、カナダの大学に入学した「スミタニ君」という、環境学を学んでいる男子学生でした。 留学先の街の規模は小さくて、いかにも北米の田舎にある…
前々回*1、前回*2の続き。 今から約11年前、大学院時代の「生体物理化学」という研究室から、「食品科学」という研究室の教員になりました。 ちょうど、食の研究分野では、食品そのものを研究するよりも、その機能性、特に「生体調節機能」に関する研究が…
昨日*1の続き。 学生時代、料理が好きだったのと、貧乏だったので、毎晩家でご飯を作っていました。さらに、お菓子作りが趣味な同級生に触発され、週末、家でケーキやパンなども作るようになりました。 お菓子を作ってみると、基本レシピ通りにすれば、それ…
私の出身学部は、農学部です。その男女構成は、同じ理系の工学部ほどではなかったですが、7:3ぐらいで男子学生の方が多かった気がします。 自分の大学時代、そして自分が理系の学部の大学教員になってから、お菓子作りが趣味の理系男子学生に結構な数遭遇し…
このブログで何度も出てきている「分子料理」。その定義は、わかるようで実はなかなかわかりません。Wikipediaの「分子ガストロノミー」を見てもイマイチ何をいっているのかわからない人が多いのではないかと思います。 人によっていろいろ取り方が違うと思…
大学1年生対象の「基礎ゼミ」で行っている分子料理教室の話を一つ。前回、前々回のつづき。 「料理は、卵に始まり卵に終わる」といわれているように、卵料理は実に奥深いものです。なかでも、私たちが意外と作れないのが、温泉卵ではないでしょうか。 そん…
大学1年生対象の少人数教育「基礎ゼミ」で、分子料理教室をやっています。 前回、「私たちがよく食べる料理を『エルヴィ・ティスの分子料理式』で表してみよう」という宿題を課し、学生にその答えを発表してもらいました。その中からいくつか紹介しましょう…
今年はじめ、新年の夢としてブログにも書きましたが、料理を分子レベルでとらえる「分子料理教室」を実際に開催しました。 というのは、今年度から新しく赴任した大学では、1年生の初年次教育として「基礎ゼミ」という必修科目があります。これは学部の各教…
ここ一ヶ月、忙しい日々でした。この状態が3月末まで続きそうです。忙しいとは、「心」を「亡くす」と書きますが、文字通りそのような感じです。 だいぶ昔の記事ですが、分子料理法で有名なスペインの「エル・ブリ」のシェフ、フェラン・アドリアさんが、一…
私が「分子料理」という言葉を初めて目にしたのは、学術的な雑誌ではなく、一般紙「BRUTUS(ブルータス)」2005年5月号の特集でした。その時の表紙がこれです。 表紙には「21世紀料理教室!」の赤い文字。左下には、「エルヴィ・ティスの分子料理法」、「…
新年ですので、私の夢を一つ披露したいと思います。 台所に立つと、料理はつくづく「科学」「サイエンス」だなぁと感じます。野菜を炒めたり、パンを焼いたりするときのプライパンやオーブンの中の反応はまさに「化学反応」であり、出来た料理は「化学反応生…
安価なカップタイプのアイスクリームとハーゲンダッツのようなプレミアムタイプのアイスクリームの違いは、味やコクはもちろんですが、なんといってもその「舌触り」でしょう。とろける「滑らかさ」は、アイスクリームに欠かせない魅力の一つです。 アイスク…