夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

おいしさ

科学者が明らかにした「完ぺきなトーストを焼く方法」

10月号のクーリエ・ジャポンで「おいしいトーストを焼く方程式の大発見」という小さい記事を発見。私にとってかなりツボの記事です。 元ネタはUKのデイリー・エキスプレスの記事から*1。 イギリスのパンメーカー「フォーゲル Vogel」に依頼された研究チーム…

災害時だからこそ、おいしいものを!

今回の東日本大震災で被災された地域、また買いだめによる食料品不足が起こった首都圏等では、少なからず「食」の実態が浮き彫りにされたように感じます。 実際に仙台で被災した一食品研究者として、震災時に食べることの意味、特に食の「おいしさ」について…

朝日新聞「料理と科学が出会う時」を科学者が読んだ感想

一昨日の3月7日、朝日新聞グローブの第59号に「料理と科学が出会う時」という特集記事がありました。記事は、Web版でも一部ご覧になれます*1。 目次は次のようなものです。 [米国・マサチューセッツ州]黒いエプロンには、数式があしらわれていた [ス…

もずく2.0

人も食べ物も、その性格やその素材に「意外性」をかいま見たときに、心がグッと惹かれるのではないかと思います。 食べ物で感じたそんな例を一つ。 新潟県の佐渡に行ったとき、知り合いの方にいつも連れて頂いているお寿司屋でのこと。そのお店ではいつもお…

料理を分子レベルで調べたい理由 −アイスクリーム作りでわかったこと−

昨日*1の続き。 学生時代、料理が好きだったのと、貧乏だったので、毎晩家でご飯を作っていました。さらに、お菓子作りが趣味な同級生に触発され、週末、家でケーキやパンなども作るようになりました。 お菓子を作ってみると、基本レシピ通りにすれば、それ…

香しい「ガレット」の魅力

知り合いの方に教えて頂いたカフェ「NOTRE CHAMBRE ノートル シャンブル」さんに行ってきました。 水の音あしたの種ジャンル:カフェ住所: 仙台市泉区館2-1-115このお店を含むブログを見る | (写真提供:御寧莞) 住宅街の一角にあるお店です。私は、ガレッ…

「甘味のない世界」は、色々な意味で甘くない

クリスマスに欠かせない食べ物といったら、やはり「クリスマスケーキ」です。そのケーキから、もし”甘さ”だけを完全に抜き取ってしまったら、きっとクリスマスは、文字通り”味気ない”ものになってしまうことでしょう。 今回も1年生対象の少人数教育の演習ネ…

自分の体が”クラシックカー”から”ハイブリッドカー”に変わる時

最近ちょっとはまっているのが、穂村弘さんのエッセイです。歌人でいらっしゃるだけあって、言葉の選び方に独特の味わいとセンスを感じます。 最近読んだ「本当はちがうんだ日記」。本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)作者: 穂村弘出版社/メーカー: 集英社発…

カニの味を合成したら、確かにカニだった

食べる人を夢中にさせるカニ。そのカニの味を、人が簡単に合成できると知ったら誰しも驚くのではないでしょうか。 今日の大学1年生対象の少人数教育「食産業基礎演習」でのお話です。この演習科目は、基本的には各教員が何を教えても構わないというフリーな…

南三陸キラキラいくら丼

昨日のお昼ご飯がこちら。 「南三陸キラキラいくら丼」 宮城県北部の南三陸町にある「松原食堂」さんで頂きました。 ホタテの刺身、志津川名物のたこ・鮭の焼き身の上に、イクラがたっぷり盛られています。別皿で生ガキも付いています。写真では分かりにくい…

「分子料理」って何?

このブログで何度も出てきている「分子料理」。その定義は、わかるようで実はなかなかわかりません。Wikipediaの「分子ガストロノミー」を見てもイマイチ何をいっているのかわからない人が多いのではないかと思います。 人によっていろいろ取り方が違うと思…

日本のマヨネーズのおいしさの秘密

先日、キューピッドをマスコットキャラクターにするマヨネーズやドレッシングなどを製造する会社の研究所の方とお話する機会がありました。 そこでお聞きしたマヨネーズの品質向上に関する技術というのは、驚愕ものです。 多くの食品は、空気中の酸素によっ…

究極の温泉卵を作ろう!

大学1年生対象の「基礎ゼミ」で行っている分子料理教室の話を一つ。前回、前々回のつづき。 「料理は、卵に始まり卵に終わる」といわれているように、卵料理は実に奥深いものです。なかでも、私たちが意外と作れないのが、温泉卵ではないでしょうか。 そん…

なぜ「若者のビール離れ」が話題になるのか?

暑い日が続いていますが、無類のビール好きにとっては最高の季節です。 わたくし、飲み会ではほぼ最初から最後までビールです。とりあえずビール、もう一杯ピール、締めもビール。日本酒も好きですが、断然ビールが好きです。炭酸ののどごし、ホップの苦味、…

手の味、箸の味、スプーンの味

急きょ引っ越すことになりました。今日、新居の契約を済ませて、月末の本格的な引っ越しの前に電気、ガス、水道のライフラインを開始しました。 新居に寝袋を持ち込み、今晩は何もない部屋で“宿直”です。 夕方、近くのスーパーでかつ丼とお茶を買い、新居に…

味覚は「言葉」によって発見され「レセプター」によって完結する

日本では味覚といえば、甘味、塩味、酸味、苦味、旨みの5種類が基本ですが、欧米では、甘味、塩味、酸味、苦味の4種類が長らく基本味として考えられてきました。 旨みの登場は、日本人の池田菊苗がうま味成分のグルタミン酸ナトリウムを発見したのが始まり…

液体窒素アイスクリーム - 究極のアイスクリーム作り -

安価なカップタイプのアイスクリームとハーゲンダッツのようなプレミアムタイプのアイスクリームの違いは、味やコクはもちろんですが、なんといってもその「舌触り」でしょう。とろける「滑らかさ」は、アイスクリームに欠かせない魅力の一つです。 アイスク…

「生キャラメル」がヒットした理由

日本人ほど”生食”にこだわってきた国民はいないでしょう。寿司、さしみなど、今でこそ魚介類を生で食することが世界的に広がりましたが、ほんの数十年前は「生食は野蛮だ」と世界で言われていた時代でした。 また、卵かけご飯が一時期ブームとなりましたが、…

かつおと昆布の合わせだしの「相乗効果」の解明

科学新聞に載っていた記事から。 昆布とかつおぶしからとっただしは、和食の基本です。丁寧にだしをとったすまし汁の上品な味を頂くと、思わず顔がほころびます。「日本人で良かった〜」と心から思える瞬間です。 昆布だしのうまみ成分のグルタミン酸にかつ…