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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

「料理の式」による新しい料理の開発 解説その1

 先日行ったサイエンスアゴラ2016に出展した「あらゆる料理を“式化”する ~料理を「料理の式」でとらえ、新しい料理を生み出そう!~」の解説をしたいと思います。

  やわらかい論文風で。

【背景・目的】 

 私たちは、日々さまざまな「食」に囲まれて暮らしています。人の食に対する関心は、コンビニエンス・ストアで見られる次々と開発される「新商品」や、おにぎらずや冷凍卵等の新しい「調理方法」や新しい「食べ方」などに移り変わっています。

 日本のコンビニでの新商品の寿命は非常に短く、多くの新製品は、メーカーが定番商品にと期待を持って送り出されますが、すぐに「飽きられ」棚から消えていきます。

 心理学では、人は栄養バランスとは関係なく、食に対して飽きやすい性質を持っているのではと言われています。

 この食に飽きることは、決して悪いことではなく、飽きを解消するための食の変化こそが、毎日の私たちの食生活を豊かにしている原動力であると言えます。

 実際に新しい食を作る上で、新しい素材や新しい調理法を導入することは、これまで多くの商品や料理の開発において数多く行われてきました。しかし、これまでにない真に斬新な料理の開発には、これまでにない新しい「視点」が必要でしょう。

 料理本やレシピサイトには、文化によるもの(和食、洋食、中華等)やメインとする食材によるもの(ご飯もの、肉料理、野菜料理等)、献立の中の位置づけ(主食、主菜、副菜、汁物等)など、いろいろな料理のわけ方がありますが、完成した料理を家のような立体的構造物としてとらえ、「かたち」による科学的な視点で料理を見た例は見当たりません。

 本企画では、料理本やウェブサイトの料理から、実際のお店の料理やスイーツなど、あらゆる料理を物理化学的な「料理の式」によって表現します。また、実際にある料理(チーズタルト)の「料理の式」を改変し、改変した式の料理を実際に作ることによって新しい料理の開発例もいくつか示します。

 さらに、参加型企画として、参加者の方に「粘土で作ったチーズタルト」を、「料理の式」を利用して自由に変形してもらい、新しいお菓子のかたちの可能性を探って行きます。

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 つづく。