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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

調理の“ロボット化”によって見えてくるもの

 上海で『ラーメンロボット』が登場というニュースを見ました。

 作っている動画を見ると、トッピングの乗せ方が、ちょっと残念です。↓

日本で一世を風靡したラーメンロボット

 元になっている技術は、日本の産業用機械メーカーの株式会社アイセイさんによるものです。自社技術のPRのために、2009年に名古屋で産業用アーム型ロボットが調理するラーメン店「ふぁーめん」をオープンさせました(2010年に役目を終えて閉店)。

 ラーメンを作る過程だけでなく、その後の「店長」と「副店長」の“寸劇”が素敵です。↓

各種調理ロボットの登場

 調理するロボットは、続々と開発されています。お好み焼きをひっくり返すロボットや、一流シェフの料理を完全再現するロボットなどがすでにあります。↓

 調理ロボットは、一度マシントラブルが起こると、料理が作れなくなるという欠点はあります。

 しかし、今後、機械の性能の向上さらに人工知能の利用などによって、完成度の高い料理が提供されるに違いありません。人が作っているラーメンは味にバラつきがあるので、ロボットラーメンの方がいいと考える人も増えるかもしれません。

調理の機械化からわかる、人の手による料理の意義

 調理の機械化の普及のポイントは、「ロボットが作った料理を人が食べたいか?」ということでしょう。

 ファーストフードよりなもの、たとえば、ラーメンやハンバーガーのオートメーション化による提供は、条件が整えば、今後ある程度進むかもしれません。

 それに対して、料亭やフレンチレストランなどでロボットが露骨に料理を作っていたら、現代人はおそらく興ざめするに違いありません。

 すなわち、ロボットによる調理には、受け入れられる料理と受け入れられない料理、受け入れられるレストランと受け入れられないレストランがあり、“その差”こそが「人による調理の意義」なのだと感じます。

 私は、牛丼などが自動化で出されても全く気にならないでしょう。しかし、記念日で利用するお店などでは、やはり料理人による料理が食べたいという気持ちが大きいです。

 もちろん、ロボット料理への受け取り方には、個人差があるに違いありません。

 栄養が摂れ、早くて安ければ、すべての料理が自動化されても全く構わないという人もいれば、やはりできるだけ職人さんが作って欲しい、人の手で提供されて欲しいという人もいるはずです。

 その感じ方の違いが、料理をどのようなものとして捉えているかをあぶり出す良いリトマス試験紙になる気がします。

 「ロボットが作るーメンに対して何かモヤモヤする」という人は、人がラーメンを作るという作業に何らかの重きをおいているということなのでしょう。

 そして、技術が向上しても「ロボットに絶対作れない料理とは何か?」ということを思わざるを得ません。

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