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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

箸やフォークはここまで来た! カトラリーに迫るハイテク化の流れ

食の未来 食の科学 料理・調理 分子ガストロノミー・分子美食学 分子料理・分子調理

 「メガネ」や「腕時計」のウェアラブルコンピュータ化が進んでいますが、「食」の分野でも、さまざまなハイテク化を目にするようになりました。

 料理を口に運ぶ箸やフォークなどのカトラリーに忍び寄る「高機能化」の例を3つピックアップします。

食事のスピードをモニタリングするフォーク

 料理を食べるスピードをチェックするフォーク「Hapifork(ハピフォーク)」が、香港に拠点を置くHAPILABS株式会社から発売されています*1*2*3*4

f:id:yashoku:20140928184841p:plainHAPI.com

 内蔵されたセンサーが、フォークを口に運ぶスピードや回数を記録し、スピードが早ければLEDライトやバイブレーションで注意を喚起してくれます。

f:id:yashoku:20140928185551j:plain(以下NY Daily News

 それによって、早食いを防止し、それによって食べ過ぎ、肥満を防ぐというものです。

f:id:yashoku:20140928185603j:plain

 USB接続を使用してコンピュータにデータをアップロードすることができます。

 写真でみるとやや大きそうなので使いにくそうな気がしますが、いずれもっとコンパクト化することでしょう。

食品の安全性を検査する「スマート箸」

 今月、中国のネット検索最大手である百度(バイドゥ)が、「筷捜(コワイソウ)」と名づけたスマート箸を発表しました*5*6, *7, *8, *9*10

f:id:yashoku:20140928200153j:plain(以下、AFPBB

 スマート箸に内蔵されたセンサーが、廃油を再利用した劣悪食用油「地溝油(下水油、ドブ油)」中に多い極性化合物(TPM、Total Polar Materials)を感知し、油にTPMが25%以上含まれていた場合、箸が赤い光を発するとのこと。

f:id:yashoku:20140928200210j:plain

 また、温度や塩分、pHを測定する機能があり、結果をスマートフォンのアプリに表示するという仕組みとのことですが、このハイテク箸は、現在のところまだコンセプトモデルの段階だそうです。

 極性化合物TPMなどの各種分析機器類は、日本の食品業界でも一般的に使われているものですので、それを各個人向けに応用したということでしょう。

 中国における食へ安全への関心が高いことがわかる開発例ではないかと思います。

 アロマ香るフォーク

  上2つのスマート化とは別の流れですが、分子ガストロノミーに特化した製品をたくさん出しているMOLECULE-R社が、アロマが漂うフォーク「AROMAFORK(アロマフォーク)」を発売しています*11, *12*13

f:id:yashoku:20140928211200j:plain(以下MOLECULE-R

 

 AROMAFORKはフォークの根元に穴があり、専用のろ紙を取り付け、そこにスポイトで好きなアロマを数的垂らすというものです。

f:id:yashoku:20140928211430j:plain

 

f:id:yashoku:20140928211516j:plain

 セットに付いている香りは、「豆( チョコレート、コーヒー、バニラ)」、「フルーツ(バナナ、ライチ、パッションフルーツ、イチゴ)」、「ハーブ( バジル、コリアンダー、ミント)」、「ナッツ(アーモンド、ココナッツ、ピーナッツ)」、「スパイス(黒コショウ、シナモン、生姜、わさび)」、「うま味(バター、オリーブオイル、スモーク、トリュフ)」の6ジャンルの計21種類あります。

f:id:yashoku:20140928211720j:plain

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 料理に人為的にアロマを漂わせるのは、何となく邪道感が否めないですが、例えば、チョコレートにわさびの香りを仕込んだアロマフォークで食べたりすると、これまでにない食体験ができる可能性などは考えられます。

f:id:yashoku:20140928212647j:plainhuffingtonpost 

20年前の電話を考えると、未来のカトラリーはどうなる?

 上のような高機能化したフォークや箸を見ても、今の私たちの感覚でいれば、やや微妙な感じがすることでしょう。今のままで箸やフォークのままでいいのでは!?という、モヤモヤ感はありますね。実際に使ってみると、どのような心境になるのかは興味があります。

 ただ、昔の話す機能しかなかった電話が、スマホになったことで一気に高度化しました。この電話の高機能化を20年前に想像できた人がどれだけいたでしょうか。

 今、食事中に何気なく使っている箸やフォークに、あと何十年か後にはどのようなテクノロジーが待っているのでしょうか。そして未来の食卓は、どのような風景になっているのでしょうか。イマジネーションを膨らませるのは実に楽しい作業です。