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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

23歳が開発した食品の新鮮さを見分ける「生体反応性ラベル」とは?

 スーパーで買って冷蔵庫に数日置いてしまった肉を食べようかどうか迷った末、もったいないけど捨ててしまった経験がある方もいることでしょう。

 世界全体で人の消費向けに生産された食料のおおよそ3分の1、量にして年間約13億トンが捨てられていると言われています*1

 そんな食品廃棄を減らすことを目的とした研究が、サイクロン掃除機の発明者の名を冠した「ジェームズ・ダイソン・アワード 2014」を受賞しました。英国ブルネル大学、インダストリアルデザイン&テクノロジーの卒業生で、現在23歳のSolveiga Pakstaiteさんが発案した生体反応性食品ラベル(bio-reactive food label)」です

f:id:yashoku:20140923095344j:plain(写真はすべて2015 Decorより)

 彼女は、視覚障害者の生活を改善するデザインの開発に取り組んだ後に、食品の有効期限を触覚ラベリングシステムとして設計するアイデアを思い付きました。

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 「生体反応性ラベル」は、プラスチック製のバンプ(凹凸)シートの上にゼラチンを乗せ、上下をプラスチックフィルムで挟んで作られます。

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 その「バンプマークをお肉などの生鮮食料品のパックの上に貼ります。

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 バンプマークは、食品が新鮮なうちに触ると、ゼラチンのしなやかさが持つ滑らかなラベルとして認識されますが、 時間が経つにつれてゼラチンが崩壊し始め、触ると凸凹を感じるようになります。

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  「ゼラチンは、もともとタンパク質であり、肉や魚、牛乳やチーズなどのタンパク質系食品と同じ速度で崩壊するため、そのゼラチン濃度を変化させることによって、食品ごとの有効期限と一致するように調製することができる」とPakstaiteさんは説明しています。

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 「このラベルは、 食品の有効期限の情報が印刷された日付よりはるかに正確となる可能性があります」と。

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 現在、Pakstaiteさんは20種類のプロトタイプを開発しているそうです。

 単にゼラチンを使っているだけですので、「生体反応性」と言うのはやや大げさのように感じますが、大変おもしろいアイデアだと思います。

 時間経過とともに、触覚だけでなく、さらに「」なども変化するようなラベルになれば、視覚障害者の方だけでなく多くの方にも広く応用できることでしょう。

 ゼラチンの物理的な変化と微生物の増殖といった衛生面での問題は別ですので、「ラベルにどのような意味を持たせるか」など課題はありますが、フレッシュな人のアイデアを周りが上手にサポートしていって欲しいと思います。

 参照記事はこちら*2*3*4, 。