夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

「平均のおいしさ」の発見と再現ができる人

 セブンイレブンの野菜スティックにつける味噌マヨネーズに、地味にはまっています。仕事中よくポリポリポリポリ食べて、いつの間にか無くなっていることがよくあります。

 他のコンビニの野菜スティックも試してみましたが、セブンの味噌マヨのおいしさはちょっと別格ですね。

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 自分の家でも、セブンの味噌マヨネーズを目指して作ってみましたが、近い味になっても、完全な再現は難しいものです。Webで「セブン 味噌マヨ」と検索してみると、このソースにはまっている人は多いようで、Cookpadで自作のソースのレシピを公開している方もたくさんいましたね*1

 以前、ある中小の食品企業に就職した教え子から聞いた話で、商品開発に配属されたその子が、何かの調味料かソースを作って販売したら、かなりおいしいと評判になり、社始まって以来の売上を記録したそうです。

 いろいろな調味料を配合し、たくさんの試行錯誤を経て作ったソースは、社内でもその子だけしか作ることができず、詳しいレシピは自分だけの秘密にしていたようです。「作り方と配合表を記したノートは、どこに行くときも肌身離さず持ち歩いています」と語っていました。そのうち、別の食品会社からかなり良い条件でヘッドハンティングの話があったそうです。

 「コカコーラやケンタッキーフライドチキン(KFC)の極秘レシピが流出か?」などとたまに騒がれるのは*2*3調味料・スパイス等のほんのわずかな配合の違いが味の印象を変え、その商品の売上を劇的に変えるということを多くの人が感じ取っているからでしょう。

 そもそも、おいしい、おいしくないという嗜好性は、個人によって異なります。おいしさの幅は大きいものです。そのため、一般のマスに向けて販売するものは、より多くの人がおいしいと感じる“平均”を目指して作るのが鉄則です。ただ、その“平均のおいしさ”がどこにあるのかを見極めるのは難しく、さらに数々の調味料を使ってそのおいしさを再現するのは決して容易ではないのです。

 小説を読むのは簡単でも書くことが難しいように、料理のおいしさを感じ取れても、狙ったおいしさを作り出すのは、経験とカンが必要なのでしょう。

 最近ですが、セブンの味噌マヨ以上のものを見つけました。

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 イケアの「ホースラディッシュソース SÅS PEPPARROT」です(画像:IKEAより)肉料理や魚のグリル、フライに添える用ですが、スティックサラダに付けて食べると、野暮ったい野菜がステッキなサラダになります。我が家では、たった3日でまるまる1瓶、空になりました。

 この調味料を開発した人は、文句無しの天才ですね。個人的に「ノーベル・ソース賞」を授与したいです。このソースを形作る材料は多いでしょうから、素人がこの味を完璧に再現するのはまず不可能でしょう。

 おいしい味を作りだせる人には、いつもスタンディングオベーションを送りたくなるのです。

 ブラボー! おお・・・ブラボー!!