夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

Q. スイカって野菜なんですか、果物なんですか? はっきりして下さい!

A. “園芸”的には野菜、“食品”的には果物ですかね。世の中、はっきりしないことも多いのです。

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 私が担当している食品学の講義で、「野菜と果物」の回に決まって聞かれる質問です。

 農学系の学科と食品系の学科、両方の学生に教えているのですが、スイカやメロン、イチゴなどを果物のくくりで話すと、農学系の学生から「スイカやイチゴは野菜って習ったんですけど?」、「間違ったこと言わないで下さい!」という質問や苦情が聞かれます。

 野菜を毎日食べていても、「野菜って何?」と聞かれると、正しく答えられる人は結構少ないのではないでしょうか。

 野菜とは「新鮮な状態で、主に副食として利用される草本性食用植物の総称」とされています。草本(そうほん)というのは、「やわらかい茎の植物」という意味です。

  同じ草本性食用植物でイネやムギがありますが、これらは高エネルギーなので主食となるため、野菜と区別され「作物」と定義されます。ダイズも高エネルギーで作物ですが、ダイズの種をまいて1週間ほどの芽が出た状態のマメモヤシは野菜、85~90日後の未熟な種子のエダマメも野菜です。

 スイカやメロン、イチゴは、野菜園芸に携わっている人にとっては「野菜」と定義されます。

 一方、果物の定義はどうかというと「“木になる”食用植物」のことで、木本(もくほん)性です。

 スイカやメロン、イチゴは木になってはいないので、この定義では果物ではありません。しかし、スーパーや高級果物屋などで、これらの“野菜”は「果物」として並んでいます。日本食品標準成分表の分類でも、スイカは果物にカテゴライズされています。

 つまり、食品的には、草本や木本というくくりではなく、消費者の目線で消費される形態に合わせて分類されています。スイカと同じように、バナナとパイナップルも草本性なのですが、果物に分類されています。

 白黒はっきりさせたい、きっちり定義したいという気持ちはわかるのですが、いろんな見方でものを見るというのはとても大事なことですね。

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  今年初のスイカを食べました。本格的に、スイカな季節の到来です。熱中症にはくれぐれもお気をつけ下さい。