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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

人類史上、最も偉大な“食の発明”とは何か?

 ちょうど一年前ぐらいに、英国の王立協会が発表したニュースから食の話題をひとつ。

 わたしたち人類の歴史を振り返れば、ほとんど“飢え”との戦いの歴史でした。有史以来、「今日、食べることができるか?」が人の関心の中心にあったことでしょう。

 現代の人類の繁栄が、「食の確保」の基盤の上に成り立っているのは間違いありません。

f:id:yashoku:20131120155656j:plainThe Kitchnより)

 これまで人々が、生命を支える「食」のために使ってきたエネルギーの総量は凄まじく、多くの“先輩方”によって数々の食に関する「発明」がなされています。

 昨年2012年の11月に、英国王立協会の科学アカデミーが、「食の歴史において最も重要な発明トップ20」という興味深いランキングを発表しています。

 ノーベル賞受賞者も含まれるフェローによって選ばれたというその結果を以下に示します。 

  1. 冷蔵庫
  2. 殺菌/滅菌
  3. 缶詰
  4. オーブン
  5. 灌漑
  6. 脱穀機/コンバイン収穫
  7. 焼く(ベーキング)
  8. 選抜育種/品種改良
  9. 粉砕/製粉
  10. 発酵
  11. 漁網
  12. 輪作
  13. ナイフ・包丁
  14. 食器
  15. コルク
  16. 電子レンジ
  17. 揚げる(フライ)

 ランキングをざっとみると、私たちの家庭なでで身近にある冷蔵庫や電子レンジのような家電用品から、灌漑、選抜育種/品種改良、鋤のような食料生産分野まで幅広い発明が並んでいます。

 トップ3は、冷蔵庫殺菌/滅菌缶詰となっており、どれも「食品の貯蔵や保存」に関する発明なのが、興味深いところです。

 冷蔵庫のプロトタイプは、1748年にグラスゴーで実証された後、1805年に商業的に生産されるようになり、殺菌技術は、1862年にフランスの有名な細菌学者ルイ・パスツールらが、「低温殺菌」として知られる最初の実験を行ったのが最初で、缶詰は、軍隊の食料として英国商人が錫製の缶詰を作ったのが始まりのようです。

 オーブンや電子レンジという調理する道具よりも、人間にとってやっかいな微生物との戦いである「食の安全」の確保の方が人類にとって偉大であるとの判断は理にかなっていると思います。

 これら以外にも、カップラーメンなどのインスタント食品、缶詰の袋版ともいえるレトルト食品、人によっては、すりおろし金、シリコンスチーマーなども偉大な発明に挙げたい人もいるでしょう。

 トップ20には、今の生活からすれば、あって当たり前のものが並んでいますが、それだけに、私たちの今の生活でこれらの発見のすごさ、普遍性を感じます。

 あまりに馴染みすぎているため、その重要さが逆に気づきにくいものですが、それだけどれも偉大な発見だったといえるでしょう。

 今後これらの食の発明を超えるものが出てくることを期待したいものです。

 

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