夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

芋煮会という「不便さのワクチン」

 先日、研究室で「芋煮会」をしました。

 芋煮会とは、東北(青森を除く)で、河川敷などで里芋などを大鍋で煮て食べるという“縄文ライク”な秋の行事のことです。

 とくに芋煮会が盛んな土地に住む山形人や宮城人にとっては、春の花見と同じぐらいのビッグイベントです(学生に聞くと、そうでもない様子)。

 私は芋煮会と聞くと結構“たぎる”方なので、毎年、私の研究室に入ったばかりに新メンバーの3年生に企画してもらうのが恒例行事となっています。

 今年の芋煮会会場は、大学から車で20分ほどの秋保森林スポーツ公園にて。

 竈があるので、着火は比較的容易。大鍋で、里芋をファイヤーして、

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里芋が煮えたら、豚肉、コンニャク、シメジ、白菜を入れ、仙台味噌で味を整え、最後にネギを入れて、豚汁、いや「仙台風芋煮」の完成っと。

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 大鍋で煮た芋煮、各自どんぶりで3杯は食べたでしょうか。日中でもだいぶ肌寒く感じるようになったこの時期、素朴過ぎる、暖かい汁が実に心身に染みるのです。

 芋煮会、東北独特のエッジの効いたイベントですが、日本中、いや世界中に広まって欲しい食の無形文化遺産だと思っています。

 非常時の「炊き出し」という点で大変いい練習となりますし、特に“防災のため”と構えなくても、みんなで楽しみながら料理できるところがいいですね。

 私たちは、便利な生活に慣れています。便利さを否定する気持ちはありませんが、携帯、スマホの便利さに慣れた現代人からそれらを取り上げるだけでパニックになるのは想像に難くありません。

 普段、災害後に経験するような便利ではないシチュエーションには、なかなか遭遇しないのが幸か不幸か私たちの日常です。

 そのため、芋煮会のようなある種“原始的な”調理体験を経験しておくことは、「不便さのワクチン」として重要なのではないかと思います。

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 食後、ややワイルドなアスレチックをしました…。たまに体を動かすのもいいものですね。