夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

「元気で長生きの秘訣ってなに?」 米寿になった“おばあ”に聞いてみた

 祖母が米寿の88歳になり、地元福島の温泉旅館でささやかなお祝い会をしました。

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 2013年の厚生労働省の発表によると、日本人の平均寿命は、男性79.59歳、女性86.35歳ですから、今、米寿でも特段長生きではないのかもしれません。

 しかし、うちの“おばあ”を見ると、特段の介護は必要としていませんし、薬なども飲んでおらず、元気な米寿だなぁと思います。

 足腰はもちろん昔と比べて弱っていますが、身体的に結構負担がかかるであろう旅館の大浴場にも複数回行っていました。

 長年の農作業のせいか、農家の人間は、“健康寿命”が長いと感じます。

 夕食の時、そのおばあに「長寿の秘訣ってなに?」と聞いてみました。

 昔からゲートボールなどの運動好きで、新しいことへの好奇心が強いおばあなので、そのあたりのことを言うのかなと思っていたら、彼女から出てきた言葉は、

「あんまりおごらねー(怒らない)ごどだ。」

 でした。

 確かに、怒ったおばあの姿は、これまでたった一度も見たことがありませんでした。

 元気で長生きする人の多くは、きっとこの「怒りへの対処」がうまいのかもしれません。

 科学的にみると、怒りによる心理的なストレスは、体内の活性酸素種の生成量を増やし、免疫力を低下させ、結果的に病気にかかりやすくさせます。怒ると、血圧も当然高くなりますね。

 そんな怒りが体に及ぼす害のメカニズムを知らなくても、体に良くないことは明白でしょう。

 しかし、人間たるもの、その感情を制御するのはなかなか難しいものですよね。

 怒りを感じないのは無理でしょうから、上手く受け流すこと、また怒りを感じる環境に自分の身を置かないように努力することなどが重要です。

 きっとおばあは、この“アンガーマネイジメント”を何十年もなにげにしてきたのでしょう。

 私にはまだまだ“修行”が足りないようです。

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