夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

関西の“だし文化”と“粉もん文化”を合わせ持った最高の料理は何か?

 先週、講演や学会などで、関西に行って来ました。

 出張時の楽しみは、なんといっても「食」ですね。

 関西でひとくくりにするのはやや乱暴かもしれませんが、関西の食文化は、やはり“だし文化”と“粉もん文化”の影響が大きいと感じます。

 上品な昆布のうまみとすっきりした鰹節の効いた「出汁(ダシ)」に薄口醤油を合わせた“つゆ”をいろいろなお店で味わいましたが、どれも“ゴクゴクと”喉を鳴らして飲んでしまうほどのおいしさでした。

 また、「粉モン(コナモン)」の代表格であるお好み焼きやたこ焼きの誘惑にも、何度か負けました。

 今回の出張中、このだし文化と粉もん文化を併せ持った「最高の“だし+粉もん”料理は何か?」について考えていました。 

 関西のうどんは本当においしくて、つゆの出汁と粉もんのうどんが見事に融合していますし、お好み焼きの材料の小麦粉も関西の命のだしと相まって生地となり、しっかりとマッチしています。

 「だし&粉もん料理」の最高峰は、「うどん」なのか、「お好み焼き」なのか?

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 「うどんとお好み焼きの2択かな」と考えていた時、とあるお店で「明石焼き」をたまたま食べました。

 私にとってたこ焼きと違ってあまりインパクトのない明石焼きは、これまでの人生であまりお近づきになるチャンスがなかったのですが、久方ぶりに食べたこの明石焼きが、べらぼうにおいしかったのです。

 小麦粉と卵で作られたふわふわ生地に、三つ葉の入った熱い絶妙なだし汁をつけ、“ほわほわ”言いながら食べました。

 口にうま味がふぁーと広がり、何の引っかかりもなしに喉を落ちていく優しい風味、ダシを吸ってとろとろの生地に潜むタコの食感のコントラストなど、おいしさが見事に調和をなしていました。

 見た目が黄金色だけでなく、おいしさも「黄金比」でした。

 うどんやお好み焼きは、関西風のだしに頼らなくても、辛めのつけ汁やソースなどで充分おいしくいただくことができますが、明石焼きは、粉もんとだしが相まった時の「飛躍感」がうどんやお好み焼きには出せないおいしさに感じました。

 「明石焼き」に、関西のだし文化と粉もん文化が融合した“ベストマッチ”を見出したのが今回のプチ発見でした。

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