夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

大学で講義をする“醍醐味”とは?

 先週、前期分の講義がすべて終了しました。前期は、学部の講義が4つ、大学院の講義が5つでした(分担が多い)。

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 大人数の講義ですと、講義中「何か質問はありますか?」と聞いても、手を挙げる学生はほとんどいません。

 それは、彼らに質問したいことが全く無いというわけでもなく、口頭で質問するというトレーニングを小中高の課程でほとんど受けて来なかったためでしょう。または、“出る杭”にならないように、周りの空気を読みすぎているとも言えます。

 私が担当している講義の中で毎回、記述式の小テストを行なっています。その小テストの下に何でも書いていい「質問・コメント欄」を設けていますが、それに学生達は結構いろいろなことを書いてきます。

 次の講義の際に、その質問やコメントを匿名で紹介し、情報をフィードバック&共有しています。それが好循環となってか、講義の終盤になるに従って、“味わい”のあるコメントがだんだん増えてきます。

 それをちょっと紹介しましょう。

 私の担当している「食品学」のある講義で、「キノコ類」の話をした回でのある学生からのコメントがこちら。↓

家でクワガタ虫を育てたらビンからキノコが生えてきたのでバターでいためて食べました。美味しかったです。(原文ママ)

 講義でこのコメントを紹介したら、「え”ー!」というリアクションが教室中に響いていましたね。

 お腹の心配などしたら、また次のようなコメントが返ってきました。

クワガタのびんから生えたキノコは10cm大のシメジでした。家族から色々言われましたが、美味しかったです本当に。(原文ママ)

 ウチの学生、すごいな…。

 さらに、今回、インパクトが最大級だったコメントがこちら。↓

最近、食の知見を広げるために学校裏でコガネムシ科(カナブン、アオカナブン、ハナムグリ)の1種をつかまえて、揚げて食べました。エビのから揚げのような食感、香ばしさ、うま味がありおいしかったですが、カイコに似たクセも感じられ、調理の工夫の必要性が感じられました。アオカナブンはメタリックグリーンで見た目がよかったです。(原文ママ)

 このコメントも講義で紹介したら、講義室が軽く“どよめいて”いましたね。

 確かに、大学の裏にちょっとした茂みがありますし、確かに、前の講義で未来の食料として「昆虫食」が話題になっている話をしましたが、まさかカナブンをフライにして食する行動力を持っている学生がいたとは…。

 しかも、コガネムシの味をカイコに例えるという、虫を虫の味で表現するという素晴らしさ!

 このコメントを紹介した後、コメントを書いてくれた学生が次のようなことも書いてくれました。

私のコメントのせていただきありがとうございました。今は裏山でタマゴダケが旬です。とってもおいしいですよ。(原文ママ)

  この食への「飽くなき挑戦心」は、健康とともに、どうかこれからも大事にして欲しいものです。

 講義へのコメントや質問は、上記のような“エッジ”の効いたものばかりではありませんが、毎回コメントを見るたび、自分の気付かなかった「視点」や「視座」が何かしら発見できるものです。

 学生に教える立場ですが、学生からの質問やコメント等から学ぶことも多々あります。そのためには、学生たちが何を考えているかを上手に引き出す必要があります。

 私が「講義」という仕事での醍醐味は、学生が考えていることを探り、それらと自分の考えとの違いを見つけることにあるといっても過言ではありません。