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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

OG・OB力

食のイベント 食と社会

 現在の大学に異動して、約2年半。二度ほど卒業生を送り出しました。先週の土曜日、初の「研究室OG・OB会」をしました。研究室の4年生のK君が、熱心に企画してくれました。

 今春卒業したOG3名が忙しい中、それぞれ遠方から訪れてくれました。教え子たちに会うのは、理屈なく、ただただ嬉しいものですね。今の研究室所属の院生・4年生・3年生計10名、そして私を含めるとトータル14名での飲み会でした。

 会の序盤、軽い一言を頼まれましたので、私は次のような話をしました。

 OG・OB会を企画してもらったのには、理由が二つあって、ひとつ目は、私がただ卒業生に久しぶりに会いたいということ、もうひとつ目は後輩たちに「縦のつながり」を感じて欲しいということ。
 ウチの大学は「同級生間」や「先生と学生の間」の距離はとても近いが、「先輩と後輩の関係」となるとやや希薄。
 来春卒業を迎える4年生にとって、社会に飛び立つことの意味を今一番リアルに語れるのはきっと新社会人。これから就職活動を迎える3年生にとって、その就活を今一番リアルに語れるのはきっと4年生
 同じ研究室で先輩後輩であったとことを最大限利用して、先輩たちからいろいろ話を聞き出してほしい、と。

 勤務先は、全国唯一の「食産業」という冠がつく学部という特性から、食品関係の企業に就職する学生たちが圧倒的に多いです。OG・OB会に来てくれた3人も食品関係の企業に務めています。入社して約半年経った先輩たちの近況や現在の心境に、食品系に就職を希望している後輩たちは熱心に耳を傾けていました。


 最初のあいさつで言わなかったOG・OB会の開催の理由が私にはもう一つありました。

 それは、卒業生に会うことが、私にとって「教育のフィードバック」になるということです。

 大学の二大使命は、「教育」と「研究」です。研究は論文や書籍など目に見える形となってはっきりと表れますが、教育はなかなか形に表しにくいものです。さらに、教育の成果は、学生が在学中にすぐに表れるものでもなく、学生が就職して何年も経ってから初めて発揮されることも多々あるでしょう。

 教え子たちに会い、近況を聞き、昔のことなどを話すことによって、大学教育上、自分がこれからすべきことが、何となく見えてくるような気がするのです。


 また、先月のことですが、ある結婚披露宴に招かれました。新郎新婦ともに前の勤務先で卒業・修士論文の指導をした教え子でした。

 新郎新婦、そして披露宴会場で久しぶりに会った同級生のOG・OBたちは、立派な大人になっていました。それもそのはず、彼らの現在の年齢は、彼らを卒論指導していた時の私の年齢をすでに超えていました。

 新郎新婦を含めた同級生たちとは卒業後、酒の席を囲むことがを多くあり、懐かしい昔の話をしながらタイムスリップしていました。そんな交流の中から教育上の多くのヒントを彼らから学ばせてもらったのでした。

 私が大学教員になって13年。その間、卒業論文の指導に携わった学生の数は計69名。初期に指導した学生の顔も、今でもぱっと浮かぶものです。卒業論文の実験で1年以上も密に関わり続けるのですから、いわば当然です。現在でも連絡を取り続けているOG・OBもいますが、連絡が途絶えてしまったOG・OBもたくさんいます。

 教育に携わるものは誰しもそうでしょうが、教え子の近況を聞くだけでただ純粋に嬉しいものです。

 しばらくお会いしていないOG・OBの皆さん、お時間のあるときにでもご連絡下さい。