夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

開かれた「遺伝子検査」というパンドラの箱

 自分が「血圧が上昇しやすい体質か」や「脂肪が燃焼しにくい体質か」などは、とても簡単に調べられるようになってきました。

 高血圧、肥満関連遺伝子を調べる「遺伝子検査」を行う機関や民間の会社が、日本にもたくさん存在しています。

 その中で、私たちにとって最も簡単に行うことができる遺伝子検査の一つは、化粧品・健康食品で有名なDHCさんの「遺伝子検査 ダイエット対策キット」でしょう。

 自分の体質を知ることで、今より上手に健康管理するための道具です。

 今年の7月くらいにDHCさんのWebサイトでオンライン購入し、実際に試してみました(割引キャンペーン中でした)。

 注文して数日後、DVDのケースぐらいの箱が届きました。

 調べる肥満関連遺伝子は、以下の3種類。

  • 脂肪の分解や燃焼に関与する「β3アドレナリン受容体(β3AR)遺伝子」
  • 脂肪の燃焼や熱の産生に関与する「脱共役タンパク質(UCP1)遺伝子」
  • 脂肪の分解に関与する「β2アドレナリン受容体(β2AR)遺伝子」

 自分の遺伝子を持つ細胞は、血液などからではなく、口腔粘膜から採取します。口腔粘膜は、キットに同封されている採取棒を使ってほおの内側をこするだけという手軽さです。

 採取方法の解説付き。

 さらに、DHCさんのキットには、「生活習慣チェックリスト」というマークシート方式での質問票が添付しています。

 そして、これが遺伝子検査で最も大切なのが、「肥満関連遺伝子検査申込同意書」の提出。

 この同意書がなければ、検査できません。

 といいうのは、遺伝子情報は、個人の究極のプライバシーですので、本人の同意がなければ勝手に行うことができないものです。

 また、同意書の説明書の中にこんな文がありました。

 本検査は、将来的に肥満に関連する遺伝子リスクがあることを知ることにより精神的な負担となるような場合が予想されます。

 自分の遺伝子検査は、「知る権利」もありますが、「知らなくてもいい権利」がもちろんあります。

 いくら技術が発達して、自分の遺伝子が簡単に分かる時代になったとしても、それを知って苦しむのであれば、最初から知らないほうが幸せと言えます。

 採取棒を返信用封筒にいれて返送し、結果を待ちました。

 結果を待っている間、何でしょう、独特の「感情」が湧いて来ましたね。おみくじを引いたり、占いをするのとはワケが違うのですが、心理的には似たジャンルの感覚でした。

 数週間後に宅配便で結果が届きました…。

 DHCさんは最近、「遺伝子検査 美肌対策キット」というものも出したようです。