夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

「“ゼリー”カップヌードルライト」いざ、実食!

 前回からのつづき。

 プッチンプリン、ならぬ「プッチンラーメン」をいただくことに。

 ナイフとフォークで中心から切り、その縦断面を見てみると、

 おぉ、まるで、“テリーヌ”のよう!

 期待度がますます高まり、プルプルと黄金色に輝く「カップヌードルテリーヌ」をいざ、実食!

 ナイフとフォークでエレガントにカットし、小さく切った一切を口の中に運んでみると、

 …ん!? う、うぉー、こ、これは!?

 「舌上の耳茸乳頭、有郭乳頭、葉状乳頭に存在する味蕾を形成する味細胞の先端部の細胞膜上のENaCイオンチャネルの開く数が増え、ナトリウムイオンが細胞内に多量に流入して細胞内の脱分極が起こることによって活動電位が発生し、その結果、味覚情報伝達が耳茸乳頭からは鼓索神経を、有郭乳頭、葉状乳頭からは舌咽神経を介して延髄に存在する孤束核に集められ、視床味覚中枢核を経由して大脳の第一次味覚野に絶えず伝達される状態」、だーーー!!

 まぁ、平たくいうと、「しょっぱい、塩からい」ということです。もっと主観的にいうなら、マズい…。

 2、3口と食べ続けていくと、みけんから脳のてっぺんまでが、塩味でズキズキしてきました。見た目は、こんなにおいしそうなのに…。

 加えたゼラチンに塩分がたくさん入っていたのでしょうか?

 ゼラチンの入っていた袋の裏に書かれていた栄養成分を見てみると、加えたゼラチン6 g中、ナトリウムは15 mg程度。もともと、カップラーメンライトに入っているナトリウム量は、1,800 mgですから、加えたゼラチン中のナトリウムはその1%にも満たないごくごく少量です。

 おそらく、ゼリー中の塩分は、液体のスープの中の塩分と違って、舌の上に残りやすいので、塩味を感じる味蕾の味細胞を“絶えず刺激し続ける”ことで、とてつもないしょっぱさ・塩からさを感じさせるのだと思います。

 ゼリーによるテクスチャー(食感)の変化が、味の強弱を変えるという一例でしょう。

 味が最も濃いであろう、粉末が溶けていない「カラメル部分」には、1ミリたりとも触れたくありませんでした。

 さらに、胃の中に落ちた冷たいゼリーは、食べた後もその塩分の強刺激による不快感をずっと持続させ、なんとも気持ち悪い状態が2、3時間続きました。

 恐るべし、“ゼリー”カップヌードルライト…。

本日の結論

 カップヌードルライトの「ゼリー化」は、ない!

 カップヌードルライトは、ICEにとどめておくことを強くお勧めいたします。

 以上、先週末の“自由研究”でした。