夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

「学食」の役割を考える

 本日、東北大学の本部がある片平キャンパスにある「学食」に、妻と晩ごはんを食べに行きました。私の自宅から歩いて10分圏内にあります。

 片平の学食であった「北門食堂」が新しく建て替えられ、「片平新食堂」ができたのが昨年の8月のこと。片平キャンパスは私の散歩コースの1つで、以前とは見違えるほど新しくなったガラス張りの新学生食堂をいつも横目に眺めていました。食堂に入ったのは今回が初めてでした。

 建物の1階がいわゆる学食の「さくらキッチン」、2階が接客のある「レストラン萩」となっています。

 「レストラン萩」で「hagi晩酌セット(生ビール、お刺身、おつまみ玉手箱)」をいただきました。学食でもお酒が飲めるのはいいですね。

 私は東北大の農学部の出身ですが、大学院時代、片平キャンパスにある金属材料研究所(金研)に“出稼ぎ実験”に来ていました。具体的には、卵の薄膜(卵殻膜)を使って放射性金属の回収実験などを行っていました。農学部のある雨宮キャンパスから金研に1年以上は通ったでしょうか。

 片平に来ていた時、お昼は学食の「北門食堂」をよく利用していました。建物は、私が学生の時でさえ相当な老朽化ぶりで、ちょっとやそっとじゃ出せない“歴史感”を醸し出していました。北門食堂を知っている方は、今の片平の新学食をみると少々驚かれることでしょう。そして、一抹のさみしさを覚えるかもしれません。

 大学の食堂のメイン利用者は、もちろん学生や教職員ではありますが、学会、シンポジウムなど外部からお客様がいらっしゃった際、学食は「懇親会場」や「レセプション会場」として大変重宝します。

 また、卒業生や保護者などにも来校時に使っていただく施設として重要でしょうし、地域の方へのリーズナブルな食堂としての役割もあるかもしれません。東北大の新食堂にも小さな子供を連れた親子連れの方を見かけました。

 個人的には、学会などで訪れた学食が、きれいだったり、メニュー開発を頑張っていたり、食環境にきちんと気を使っていると、その大学の教育や研究は別にして、その大学への親近感が一気に上がります。

 その点「学食」に関しては、外国の方が断然進んでいます。

 私の留学していたカナダの大学でも、学内にフードコート、レストラン、パブ、スポーツカフェ・スポーツバー、コーヒーショップがありました。教員だけが使える「サロン」などもありました。キャンパスが広すぎるので、すべてを大学内でまかなう必要性があったのだとは思いますが。

 食事の場は、人と人がコミュニケーションする場所としては大変優れた場所です。人は一緒に食事しただけで、なんだか親しくなった気がするものです。

 大学の施設の中でも、学食は、学生同士、学生と先生などの人間関係の醸成に極めて重要な場所でしょう。大学人は、学食の環境改善にもっと関心を持つべきです。

 私は現在、研究室のメンバーと週1回、お昼に学食に行って一緒に食事をしています。そこで学生と話をしながらごはんを食べるのが、1週間の中で私が最も楽しみにしていることの1つです。