夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

板そば、寒晒しそば、冷たい肉そば@山形

 私の生まれは福島、学生時代は宮城、初めての大学教員時代は青森と、東北を縦断生活してきました。そして現在は、また宮城の仙台に居を構えています。

 東北6県はすみずみまで旅行したこともあり、東北の県民性の違い、その土地の文化や言葉、そして特産品にはだいぶ詳しくなりました。

 東北の中でも、宮城のお隣の山形は、私にとって好きな土地の一つです。

 東北弁の中でも山形弁はほっこりとした暖かみがあり、私の接してきた山形人は優しく情深い方が多いです。そして山形は、美味しいものの宝庫です。

 昨日おとといと、仙台は晴天に恵まれた絶好の「青葉祭り」日和でしたが、人混みを予測回避し、山形路へと向かいました。

 山形は美味しいものがたくさんあれど、私にとっての一番のお目当ては、何といっても「蕎麦、そば、ソバ」です。

 山形のそばといえば、杉板の箱に盛られた「板そば」が有名です。↓

 そばの強い香りが広がるコシの強い田舎そばが特徴で、食べごたえのある量が盛られていますが、私は一箱ぺろりと平らげます。

 しかし、今回の目的は、その板そばではなく、この「寒晒し(かんざらし)そば」。↓

 寒晒しそばとは、秋に収穫した蕎麦の実を冷水に浸した後、寒風に晒して乾燥させた蕎麦のことで、冷たい清流に浸すことであくが流れ、ほのかな甘味が増すのが特徴です。

 雪の中に野菜を貯蔵すると甘みが増すのと同じ原理で、江戸時代に行われた方法を山形で昔から再現しており、4月中旬から5月上旬ごろまでの春限定で賞味できます。

 寒晒しそばの上品な甘みと、ふきのとうやこごみなどの山菜の天ぷらの苦味のコントラストよく、実においしい! うまい!!

 さらにここ数年、私の中で巨大な“うねり”となっているのが、「冷たい肉そば」です。

 山形県河北町が発祥のご当地そばで、冷たいかけつゆで頂くのが特徴です。具には鶏肉を使うので「冷たい鳥そば」というお店も多いですね。

 これからの暑くなる時期が「冷たい肉そば」の一番美味しい季節ですが、私は今年、すでにこれだけの肉そばを食べました。↓

 

 

 山形のそばは、その店によって風味や食感が異なり、実に奥深いのです。広がりと深さがあります。

 一日三食そばでもいい「そば喰い」にとって、多種多様な蕎麦店がある山形はたまらない土地です。