夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

あなたの学校や会社に「備蓄」はありますか?

 おとといの4/4は、勤務先の入学式でした。

 新年度になり、新入生や新社会人の方は、新しい学校や職場で“新鮮な緊張感”に包まれていることでしょう。

 ところで、東日本大震災では、首都圏で約515万人の「帰宅困難者」が発生しました。首都直下型地震では、さらに帰宅困難者が増えると予想されています。

 そのために、東京都は、民間企業に3日分の非常用物資の備蓄を義務づける「帰宅困難者対策条例」を3月29日に可決しました。帰宅困難者対策に関する条例が定められるのは、全国で初めてのようです。

 首都圏の人口密度と交通事情を鑑みれば、「3日分」は最低ラインで、「1週間分の水と食料は確実に必要」というのが私の経験からの印象です。

 東日本大震災は平日の日中に起きましたから、職場で被災した方が多かったことでしょう。知り合いのある方は「自宅に非常用袋は準備していたけど、(家に戻ることができなかったので、)結局役に立たなかった。車に置いておけば良かったが、普段は邪魔になるしなぁ」と話していました。

 地震対策というと、個人は自宅を中心に考えると思いますが、地震が“アポ無しの来客”だということを考えると、職場や自分が長い時間いる場所での備蓄も考えておく必要があるでしょう。

 「帰宅困難者対策条例」における企業での非常用備蓄の問題の一つは、「賞味期限切れの非常食をどう処理するか」というでしょう。

 以前の行われた企業向けのあるアンケートによると、賞味期限切れの非常食を廃棄するが52%、配布するが46%、社員食堂で食べるが2%でした。「52%が廃棄」とは、実にもったいない話です。

 その背景には「5年保存可能」のような長期保存食に頼り、賞味期限前の「普段使い」が難しいことに原因があるのではないかと思います。

 今、普段私たちが食べているものでも、保存性が高く、味も悪くないレトルト食品などが数多く開発されています。

 ある程度保存性の高いものを、非常食の中に組み込み、賞味期限前に学食や社食で普通で提供して、消費サイクルの中にうまく組み込んでいくことが大切でしょう。

 以前私のブログでも書いた、常備しながら備蓄する「常備蓄」という考え方です。個人であっても、企業であっても、備蓄を普段の生活の中に確立させるということです。

 また、「帰宅困難者対策条例」が可決されたからといっても、決して、会社や行政、地域社会などをあてにしてはいけません。

 震災時は、災害弱者となる、子どもやお年寄りへの対応を最優先させなければなりませんから、普通の人は自分で自分の食料は準備しておく気位がなければならないでしょう。

 フレッシュマン、フレッシュウーマンの皆さんは、ひとまず新しい場所での知識の「備蓄」に励んで下さい!

 ↓私の職場での「備蓄食?」。

 単なるおやつや間食ですね。自宅までは歩いて帰れる距離ですので、私が「帰宅困難者」になる可能性は低いでしょう。