夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

備蓄食を「常備」+「備蓄」で「常備蓄」するという発想

 今日のTOKYO FMの番組シナプスでお話しした、備蓄食を「常備蓄」するという発想について、若干解説を。

 震災などの災害後は、その置かれた状況にもよりますが、少なくとも救援体制が整うまでの期間約3日間(大都市の場合は約1週間)を自力で乗り切るために、必要最低限の食料などを、世帯レベルで備蓄しておくことが必要です。

 非常食・備蓄食と言えば、“カンパン”を思い浮かべる方が多いかと思います。非常食の代名詞とも言えるカンパンは、大変便利な食品ですが、それを果たして私たちは3日間食べ続けることができるでしょうか。

 大きなストレスがかかったときに、食べ慣れないものを食べることは、新たなストレスを引き起こします。いっそ普段からカンパンを常食し、カラダをカンパンに慣れさせておくという手もありますが、これだけおいしいものが安く手に入る現代社会の中で、カンパンを食べ続けられるのはよほど精神力の高い方だけでしょう。

 私たちが今できるのは、普段食べているものを非常時にも食べられるように備えておくことです。

 ふだんおいしく食べ慣れているものを、非常時にも食べることができれば、それだけで心を落ち着かせることができます。

 非常時のためのことさらな「備蓄」ではなく、日頃から利用できる長期保存が可能な食品を買い置いて「常備」し、日々の食生活の中でおいしく活用しながら、非常時にも役立てるという「常備蓄」という発想です。

 じゃ、実際にどんなものを「常備蓄」したらいいかという話は、また別の機会にでも。