夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

「食品“伝道者”の夜食日記」に

 今年ももう少しで終わってしまします。この「夜食日記」で書きたいことは山ほどありましたが、タイムアップです。

 今年は、震災によって、水や食べ物の大切さを頭だけではなく身体で感じる得がたい経験をしました。それと同時に、私は普段大学で「食」を研究している立場でありながら、震災時に自分の研究が世の中で何の役にも立てなかったという無力感にもさいなまれました。

 これから自分の責務を果たさなければならないという使命感を感じています。また一方で、「食」の研究者になって良かったとしみじみと感じています。

 今問題となっている放射性物質による食の安全など、食のサイエンスをいかに私たちは読み解くかは、もう個人個人のリテラリー能力による時代になってきました。

 今、世の中に圧倒的に足りなく、そして求められているのは、難解なものをわかりやすくして提示してくれる人ではないでしょうか。食の世界で例えるなら、食べにくいような食材も、消化しやすいようにして私たちに提供してくれる料理人といったところでしょうか。

 私の本業は大学での教育・研究ですが、世の中の食の問題や食の大切さを読み解き、それをいかにわかりやすく伝えるかにも力を入れていきたいと思います。それは、このブログだけではなく、他の情報伝達手段も含めてです。

 このブログ名は「食品研究者の夜食日記」ですが、来年から「食品“伝道者”の夜食日記」にしたいくらいです。まぁ、変更はしないでしょうが…。

 これで本年のブログは最後です。このブログに訪ねて頂き、誠にありがとうございました。

 来年は、みなさまにとってよりよい年となることを心からお祈り致します。