夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

ブロッコリーを「やけに緑色のカリフラワーだなぁ」と思った世代

 以前読んだ歌人の穂村弘さんの本「君がいない夜のごはん」に書いてあったことで、私もふむふむと思ったエッセイがありました。
君がいない夜のごはん

 ちょっとだけ紹介します。

凄いブロッコリー

 先日、若い編集者のMさんと打ち合わせをしたときのこと。

 M「連載、いつもありがとうございます」
 ほ「どうもありがとう」
 M「ブロッコリーとカリフラワーの話に驚きました」
 ほ「どうして?」
 M「ほむらさんは、小学校のとき、初めてブロッコリーをみて『このカリフラワー、緑だ!』ってびっくりした、って書かれましたよね」
 ほ「うん」
 M「私はずっと逆だと思ってたから」
 ほ「逆?」
 M「初めてカリフラワーをみたとき、凄いブロッコリーだな、って思ったんです。白くてゴツゴツで」

 え?と思う。

(以下略)

 私は断然「ほむら派」です。

 緑のブロッコリーよりも白いカリフラワーが先に食卓に並んでいた記憶があります。私もブロッコリーを初めて見たとき、「やけに光合成して緑になったカリフラワーだなぁ」と思った世代です。

 そして昨日、エキサイトニュース*1でブロッコリーとカリフラワーに関しての記事を見つけました。

ブロッコリーがカリフラワーに逆転した理由
2011年11月14日 10時00分

今では定番野菜のブロッコリー。だが、昔はブロッコリーよりもカリフラワーのほうが、家庭の食卓でおなじみだった気がする。

(中略)

「日本では当時、煮物やきんぴら、漬物などで野菜を食べていましたが、洋食文化によって『サラダ』という食べ方が広まるなかで、“白い野菜”がもてはやされました。当時は栄養より、海外の文化を取り入れることがステイタスでしたので、サラダに欠かせないものとして白いカリフラワーが受け入れられ、日本でも作られるようになったようです」

農林水産省統計情報部「青果物卸売市場調査報告」〜「卸売市場における野菜卸売数量の推移」によると、昭和50年にはカリフラワーが76000トン、ブロッコリーはまだ品目区分がなかった。

だが、昭和60年では、カリフラワー75000トン、ブロッコリー55000トンとブロッコリーが大きな伸びを見せ、平成2年にはカリフラワーが49000トン、ブロッコリーが93000トンと、約2倍までに逆転している。

「アメリカではブロッコリーが『健康に良い野菜』と位置付けられていたことから、日本でも広く使われるようになりました。

同時に、『緑黄色野菜を食べよう』という考え方が広まったこともあります」

(以下略)

田幸和歌子

 私が物心ついたころの昭和50年代は「カリフワラー全盛期」だったようですね。昭和から平成へ変わった時期は、時代の節目であったと同時に、カリフラワーからブロッコリーへと花野菜の主役が世代交代した時期でもあったのでしょう。

 団塊ジュニア世代あたりを境に、「このカリフラワー、緑だな」と思った派と「このブロッコリー、白いな」と思った派に分かれそうです。

 平成20年には、ブロッコリーの販売量がカリフワラーの約7倍にもなり、大きく差がついたようですが、ブロッコリーがこのまま安泰とも限らないと思っています。

 それは、スーパーなどで見かけることが多くなった「紫ブロッコリー」の存在です。

 色あいからいってもアントシアニン系の抗酸化物質が豊富でしょうから、将来、紫ブロッコリーが、「花野菜界のセンターポジション」を緑色のブロッコリーから奪うとも限らないでしょう。

 そうなると、次世代の子供達は、ブロッコリーやカリフラワーを見て「なんで、紫色じゃないの? 変なの」と思うようになるかもしれませんね。

*1:[http://www.excite.co.jp/News/bit/E1320849103626.html:title=ブロッコリーがカリフラワーに逆転した理由(Excite Bit コネタ)] - エキサイトニュース