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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

角館高校での模擬講義にて

 先々月、秋田県立角館高等学校から所属学部へ模擬講義の依頼があり、私にお話が回ってきました。文化の日の前日の11/2がその出前授業の日で、朝7時頃に仙台の自宅から車で角館へと向かいました。

 寒暖差の激しい秋の朝のため、東北自動車道を走っている間はずっと濃霧でしたが、秋田自動車道に入ってからは霧がさっと晴れ、気持ちいのいい青空の紅葉の山々の中を抜けて、10時過ぎ頃に仙北市角館町に到着しました。

 角館には、大学生の頃や青森に住んでいた時代に何度か訪れたことがあります。武家屋敷等の歴史的な建造物が数多く残されており、「みちのくの小京都」ともよばれる東北でも有数の観光地です。その武家屋敷の近くに角館高校がありました。創立80年以上の歴史のある高校です。

 模擬講義は高校1,2年生対象で、午前と午後の2回、どちらも大学の講義と同じ90分で行いました。同じ日におもに北東北の他の大学の先生方が10名ほど同時に模擬講義する日程を組んでおり、その中で各生徒が興味のある講義内容を選ぶという方式でした。私の模擬講義には栄養関係の興味のある生徒が午前、午後に30〜40名ほどがおりました。

 模擬講義では、所属大学・学部の紹介と、私が大学で担当している講義の中から「栄養と遺伝子の話」「個別化栄養・個別化食品の話」など、最後は自分が研究している「デザイナーエッグ」の話をしました。

 生徒さんたちはメモを取りながら、熱心に聞いてくれました。大学生でも難しいであろう話題を講義の中に入れましたが、講義後の質問タイムでは、その中身を理解した上での質問が多々あり、きちんと話の内容が届いていることがわかりました。

 だいぶ昔のことですが、私の上司だった大学の先生は、「講義では、まず教員と学生の間できちんと信頼関係を築かなければ、どんなに雄弁に話しても学生の心に言葉は響かない」と言っていました。

 模擬講義で、教員がファースト・コンタクトの高校生に伝えられることはほんの微々たるものでしょうが、大学にはマニアックな卵の研究しているおじさんがいて、「将来、個人個人にあった卵が作りたい」とかいう夢を熱く語っていたなということがちょっとでも感じ取ってもらえたらいいなと思い、教壇で汗をかきながら話しました。

 待合室と教室の間の移動は、受講した高校生が誘導してくれましたが、午後の講義終了後の移動のあと、高校生が「先生、気をつけて帰って下さい」という言葉と「角館の桜が有名なので、春もまた来てください」という言葉をかけてくれました。

 そう、角館は桜の名所でしたが、春にはまだ訪れたことはありませんでした。帰り際、その桜並木と武家屋敷通りを眺めて、家路に着きました。満開の桜並木を見に来たいですね。

 おみやげ頂いた「角館プチフレーズ」さんのお菓子もおいしかったです。