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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

外部講師による「食品開発学特論」で思ったこと

 ちょうど2ヶ月も前のことですが、前もブログ*1に書いた大学院講義「食品開発学特論」の最終回に外部講師をお呼びし、講義して頂きました。

 講師は、今私が共同研究をさせて頂いているキユーピー株式会社研究所上級研究員の半田明弘さんです。

 せっかく来て頂くので、受講している大学院生だけでなく学部の学生や先生方にも自由に聴講できるように開放しました。その時に作った学内案内用のビラがこちら。↓

キユーピーといえばマヨネーズ、マヨネーズといえばおなじみのこの柄↑ですね。

 講義のタイトルは、「ノンコレステロールマヨネーズ『キユーピーゼロ』の開発」という、半田さんが実際に開発に携わった商品のことを中心にお話して頂きました。

 半田さんの「食品開発の話」のキモの部分は、

    • 商品=「要素技術」の組み合わせ
    • 様々なステージがある

ということでした。

 お話して頂いたノンコレステロールマヨネーズの基盤技術には、超臨界二酸化炭素でコレステロールを除去する技術、酵素処理で卵黄の乳化力を強化する技術を組み合わせた技術、既存技術であるカロリーハーフにする技術、酸素の吸収するボトルの技術などがあります。それらの新旧の技術を組み合わせることによってこれまでにない新しいマヨネーズが誕生しました。

 さらに、基盤となる技術が確立した後、ノンコレステロールマヨネーズを商品化するためには、工場レベルでの製造技術の確立、商品設計、販売方法の決定などの様々なステージを必要とします。

 1つの商品が世の中に出るためには、多くの技術と多くの方の熱意が集結して、やっと“実になる”いうことが明快に伝わってくる講義でした。

 スーパーに並んでいる身近な商品の開発に携わった方のリアルなお話に、大学院生も学部生も一様に惹き込まれているのが表情からよくわかりました。私自身も、商品開発だけでなく原料開発、さらに日本と海外での開発など、豊富なご経験を基に話す深い言葉が、ぐっと心に染み入りましたから。

 また、講義の最後には、講義内容をおさらいするクイズ大会、しかも商品としてレアな限定「キユーピーストラップ」までご用意して頂く大サービスぶりでした。

 「食」に関係することを広く勉強している大学院生・学生たちですの、将来「食品開発」をやりたいと思っている人がかなりたくさんいます。

 実際に商品開発研究者の生の声を聞くことで、「食品開発をするためには何が必要で、今の自分には何が足りないのか」を感じる貴重な体験となったでしょう。

 最後の質問タイムでも、学生から「将来、企業で食品開発に携わるために学生時代にしておくことは何ですか?」という質問がありました。半田さんはご自身の学生時代の体験を踏まえた熱い言葉で、学生たちのモチベーションを最大限に高めて頂きました。

 院生・学生だけでなく、私自身とても勉強になりました。講義して頂いた半田さんには深く感謝申し上げます。また、来年もよろしくお願いします。

*1:[http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20110917/p2:title=「食品開発学特論」を講義して思ったこと] - 食品研究者の夜食日記