夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

「食品開発学特論」を講義して思ったこと

 今日もローソンで買ってしまった宮城大学産業学部フードビジネス学科の学生たちが開発した「塩チョコスティックケーキ」。

 最近、2日に1個のペースで食べています。塩チョコの虜になってしまったのか、なかなか飽きませんね。

 東北限定なので東北地方のローソンでしかこの「塩チョコスティックケーキ」は買えませんが、現在、東北地方のローソン、スイーツ部門で売上ナンバーワンのようです。

 確かに、ローソンに行くたびに「塩チョコスティックケーキ」の売り場の面積がだんだん大きくなっていると感じていました。期間限定ですので、まだ未体験の方は、どうぞお早めにお試し下さい。

 今回の「ローソンスイーツプロジェクト」は、大学生による商品開発ですが、今年度から私は宮城大学大学院の「食品開発学特論」という講義を担当しています。

 私はずっと大学に勤めていますので、企業と共同研究という形で食品開発に携わったことはありましたが、自分自身が商品を開発したことはありませんでした。

 そのため、講義をする前に、食品開発に関する書籍などを読んだり、企業で食品開発に関わっている方、教え子で開発に携わっている人などに「食品開発のポイント」などを聞いてまわりました。私自身とても勉強になりました。

 学問的に「食品開発」で必要な基礎知識はおそらく次のようなことでしょう。

    • マーケティングの4P(製品Product、売場Place、宣伝Promotion、価格Price)と4C(満足感Customer Solution、利便性Convenience、情報Consult、コストCost)の熟知
    • 市場のニーズ、ウォンツ、シーズをつかむ
    • 開発の目的、手順、戦略
    • 原価計算と製造施設設計
    • 賞味期間設定のポイント
    • 食品添加物の種類と目的 など

 自分で勉強してわかったというか確信したことは、マーケティングから原材料の科学まで、幅広い知識を備えていないと、食品開発には十分に対応できないということです。

 大きな企業では、マーケティングならマーケティング、製造なら製造、広告なら広告のスペシャリストたちがチームを作って開発に携わっているでしょうが、中小企業が多い食品関連企業では、一人で何でもできる能力が必要とされていることでしょう。大規模なチームによる食品開発でも、全体を見通せる「大局観」のある人材が商品開発のキーパーソンとなるはずです。

 私の前のブログ*1にも書きましたが、私が所属する宮城大学産業学部フードビジネス学科は、「文理融合」を教育理念に掲げ、学生に幅広い「食」の教育を行なっています。

 具体的には、「食品化学」「食品加工学」「栄養学」や「食品機能学」に関する理系科目の習得と同時に、食品の「経済学」や「経営学」「事業戦略」「マーケティング」等の文系科目の習得を目指した総合的な教育です。

 食品開発などに必要な文系、理系を問わないこのような幅広いカリキュラムを備えているのは、日本で宮城大学だけでしょう。

 大学院教育ではより専門的な知識の習得に努めなければなりませんが、学部教育における食に関係する知識は、文系、理系問わず、浅くてもより広く勉強していることが大切なのではないかと思っています。

 文理が融合した食の知識は、将来、食品開発に携わったり、食品製造やフードサービス分野に就職してから、きっとその人の「のびしろ」になるでしょうから。

 大学院の講義では、このDVD↓を紹介しました。

*1:[http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20110311/p2:title=「食」の問題に、文系、理系の区別なんて関係ない! ]- 食品研究者の夜食日記