夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

「これからの非常食・災害食に求められるもの」

 注文していた本が届きました。

 「これからの非常食・災害食に求められるもの―災害からの教訓に学ぶ―」と「これからの非常食・災害食に求められるもの2―災害時に必要な食の確保―」というタイトルの本です。

 どちらも新潟大学地域関連フードサイエンスセンターが編集しています。新潟大学で開催された特別シンポジウムの講演・総合討論をもとに編纂されてます。

 目次を紹介します。

これからの非常食・災害食に求められるもの―災害からの教訓に学ぶ―

  • 第1章 阪神大震災 被災者の視点から
  • 第2章 日本の国際緊急援助隊における食糧について
  • 第3章 避難所での口腔ケアと食について
  • 第4章 被災生活における食の問題―中越地震「被災生活アンケート」から―
  • 第5章 非常食の現状と課題
  • 第6章 災害への取り組み
  • 第7章 今後の非常食、災害食へ向けて―シンポジウムの総合討論から

これからの非常食・災害食に求められるもの2―災害時に必要な食の確保―

  • ライフラインの喪失と食事の条件
  • 中越地震における食問題調査報告
  • 避難生活と口腔ケアの大切さ
  • 震災時に求められる非常食の条件
  • 企業における非常食備蓄について
  • 「新潟県災害時栄養・食生活支援活動ガイドライン」策定の目的と課題
  • 「これからの非常食・災害食のために」

 具体的な感想はいろいろあり過ぎてここでは述べませんが、今回の東日本大震災で被災したものにとっては、実に“染みる”内容となっています。

 大学で「食」の教育と研究に携わっていたものが、30年周期で大きな地震が起こる宮城県に住んでいたものが、なぜこれらの本を事前に読んでいなかったのか、過去の自分を激しく問い詰めたい気分です。

 実際に被災し、これらの本を読んでまた改めて感じましたが、被災された方、並びにこれからの復興に携わるすべての方の体力および精神力を支えていくものは、他ならぬ「食」です。

 これまで「食と健康」に関して研究してきた自分の経験を踏まえ、食に通じての健康管理、高齢者の食の問題、被災生活の長期化による食の質的維持、今後備蓄すべき非常食・災害食などに関して、行政等にアドバイスする機会があれば積極的に行い、このブログでも情報をどんどん発信していこうと思います。

 今後も宮城県沖でM 8.0クラスの余震が起こる可能性が専門家から指摘されています。また、今回の東日本大震災と類似点が多いとされている869年に起こった貞観地震の9年後にはM 7.4の相模・武蔵地震が、18年後にはM 8.0〜8.5の南海地震が起きています。

 災害が多い国だとわかっていても、非常食や災害食をきちんと準備している人は少ないでしょう。身の回りに食べ物があふれていたら、いわば当然のことです。

 しかし、東日本大震災のように地震や津波が大規模かつ広範囲で起こり、鉄道・道路・空港・港湾などの輸送網がすべて断絶すれば、大都市であれば瞬時に食料は枯渇します。もう、あっという間です。

 また、米やインスタントラーメンをいくら備蓄しても、お湯を沸かす燃料や水そのものさえも手に入らない状況を今回の震災で多くの方が経験なされたと思います。

 私たちが今出来ることは、今回やこれまでに起きた震災の教訓をいかに学び取るかでしょう。多くの方が、真摯に過去を学び、忘れないように噛み締めておけば、これからも日本でずっと起こり続けるであろう震災による被害を最小限に抑えることができるはずです。

 だから人は学ばなければならない、命と直結している食の教育の現場にいるものとしては改めて強くそう思っています。