夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

穴埋め

 今日、自分の眼鏡を見たら、片方の鼻当ての部分が無くなっていました。↓

 眼鏡をかけると、鼻の頭に金属部分が当たって痛いです。

 いつ、その部分が外れたのか、全く気が付きませんでした。あの地震以降、眼鏡をかけながら寝ていたこともあったので、その時でしょうか。自分の眼鏡に意識が行く余裕が出てきたということなのでしょうね。

 今日、大学の私の郵便受けに膨らんだ封筒が一通入っており、開けたら次のようなものが入っていました。

 チョコレートです。「自分が大変な時に友人が送ってくれたものと同じもので、疲れたときに食べて下さい」と、綺麗な字の一筆箋が同封してありました。

 送ってくれてた方の暖かい心遣いに、私の心は余震以上に震えました。ありがたすぎて、食べることなどできません。

 また、震災直後、車で寝泊まりしていた時、駐車場隣の家の方にビスケット1箱とお茶を頂きました。街全体が極度の食料品不足に陥っていた時です。そのビスケットももったいなすぎて、食べることができず、今も大事にとってあります。

 多くの人の優しさや暖かい言葉で、心を“埋めて”もらったと強く感じています。

 養老孟司さんのある新書で「仕事というのは、社会に空いている穴を埋めるようなものだ」と書いてあったことをふと思い出しました。

 今日、大学へ行くバスの中で、陥没した道路をアスファルトで“埋めて”いる作業員の方を数多く見かけました。また、飲食店もほとんどが営業を再開しており、市民の空腹を食事で“埋めて”います。

 福島原発で作業にあたっている東電職員も、被災地のボランティアの方々も、今、日本の多くの方が、さまざまな「穴埋め」に懸命に取り組んでいると思います。 そのまま放っておくとみんなが転んで困るので、その穴を埋めています。

 今、自分に何ができるかわかりませんが、今できる最大限の「穴埋め」をしていきたいと思っています。