夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

なぜ、変わったものが食べたくなるのか

 同じようなものを食べ続けていると「たまにはちょっと変わったものが食べたいな」と思うものです。私の場合、エスニック系などです。

 栄養学的な観点から考えると、同じものを食べ続けることによる栄養の偏りを避ける「リスク回避」のように感じます。

 もちろん、普段私たちが、頭の中で栄養のバランスをきちんとシュミレーションして「なにか普段とは違う、別なものが食べたいな」と思っているわけではないでしょう。しかし、体の栄養バランスを脳が事前に察知して、不足している栄養を補うために珍しい食べ物を食べたいと思わせているのではないかと思うのです。

 逆に、コンビニでいつもの飲み物、いつものお弁当やおにぎりを選んで、あまり斬新な食べ物に手を出さないような、いわば”冒険心”の薄い人は、食品の安全面における「リスク回避」に長けているともいえます。変わったものを食べて自分に”合わなかった”ときのリスク回避です。

 食には、このように「保守」と「革新」が混在しています。「栄養」や「食の安全」の観点から考えるとそれなりに説明できるのではないかと思っています。