夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

もずく2.0

 人も食べ物も、その性格やその素材に「意外性」をかいま見たときに、心がグッと惹かれるのではないかと思います。

 食べ物で感じたそんな例を一つ。

 新潟県の佐渡に行ったとき、知り合いの方にいつも連れて頂いているお寿司屋でのこと。そのお店ではいつもお任せで握っていただいているのですが、そのなかでふいに出されたネタに衝撃を受けました。

 それは佐渡の「岩もずく」を軍艦にしたものでした。その食感がこれまで食べたもずくとは明らかに違っていて、シャキシャキとした食感の中にグルタミン酸のうま味も相まって、実に衝撃的な味でした。不随意的に瞳孔がカッと2ミリほど開いたほどでした。

 海藻を海藻で巻いている「The 海藻」というネタでしたが、その意外な食感にやられて思わずお替わりしてしまいました。

 もずく酢のようなこれまで食べていたもずくのふにゃふにゃ感とは明らかに違っており、私の中の「もずくの概念」が変わるくらいのものでした。今まで食べていたもずくが「もずく1.0」であるならば、その時食べたもずくは明らかにバージョンの異なる「もずく2.0」といえるものでした。

 軟弱そうに見える人が、意外にしっかりとしている面があることを知って、株が上がるようなものでしょうか。

 なぜこんなブログを書いたかというと、佐渡からもずくと同じ海藻の仲間の「ながも(アカモク)」が届いたからです。

 これからこれを温かいそばに上に載せていただきます。