読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

食べることを想像してごらん。そうすれば、実際食べる量は減るよ。

食の科学 食の心理 ダイエット

 忘年会シーズンに真っ盛り。飲み過ぎ、食べ過ぎで胃腸がだいぶ疲れている方も多いのではないかと思います。さらに来週は、クリスマスウィークが控えています。

 もし今、オーバーウェイトでお腹のぜい肉が気になり、クリスマスケーキやチキンを頭から遠ざけようとしているなら、それはむしろ逆効果で、どんどんそれらを食べることを想像した方が、実際食べる量は減りますよという論文が、科学雑誌Scienceに掲載されました。

Thought for Food: Imagined Consumption Reduces Actual Consumption
Carey K. Morewedge, et al.
Science
10 December 2010: Vol. 330 no. 6010 pp. 1530-1533

 ピッツバーグにあるカーネギー・メロン大学の研究グループの報告です。

 それによると、Morewedgeらは、ボランティアを3つのグループに分け、以下のことを「想像する」ように頼みました。

    • グループ1:コインランドリーに33枚のコインを投入すること
    • グループ2:コインランドリーに30枚のコインを投入し、3個のM&M'sのチョコを食べること
    • グループ3:コインランドリーに3枚のコインを投入し、30個のM&M'sのチョコを食べること

 M&M'sは、これですね。↓
Wikipediaより)

 「コインランドリーにコインを投入する」ことが、「M&M'sを食べること」に似ているので、”コントロール(対照)”に用いられています。

 各グループにそれぞれの想像してもらったあと、”食味試験”と称して、ボールに入ったM&M'sを自由に食べてもらいました。その食べた量を測った結果、30個のM&M'sを食べる想像をしたグループ3が、他のグループと比べて食べる量が一番少なくなるという結果になりました。

 この「M&M'sを想像することで、実際に食べる量が減る」という効果は、M&M'sをただ”移動する”ことを想像したり、別な食べ物(チーズ)を食べることを想像したのでは、みられませんでした。

 特定の食べ物を食べていることを繰り返し想像することによって、実際その食べ物を食べなくなるということのようです。

 「嗜好品の常習性を、”感覚”ではなく、”想像”によって減らすことができる」という点が、この論文の大きな発見なのでしょう。