夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

「ヒ素を食べる”鳥”の発見、初の元素置換”卵”」…を夢見ていた日々

 「リンの代わりにヒ素を食べて生きるバクテリア」のニュースのインパクトはかなり大きいようですね*1

 「ヒ素を食べるバクテリア」が発見されたのが新しいのではなく、初の「元素置換生物」というところがミソです。「ヒ素を食べる生物」はこれまでもいたでしょう。このニュースの意味に関しては、WIRED VISIONの記事のほうが分かりやすいです*2

 生物の主要6元素は、炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄と教わってきたわけですから、ヒ素をリンの代わりに使うというのは教科書を覆すほどの発見です。常識を変える発見はそうそうあるものではありません。生物は進化の過程でどのように元素を利用してきたか、生き物の生存戦略とは何かなどいろいろ妄想をかき立てさせてくれるニュースです。

 このニュースを見たとき、昔の自分の仕事を思い出しました。

 もうだいぶ前ですが、私は、ヒ素やその他の有害な元素や貴金属などを、鶏の卵の薄膜である「卵殻膜」などで回収・除去する実験をしていました。卵殻膜は、色々な官能基を持っていることや網目状で表面積が非常に大きいため、驚くぐらい金属吸着能力が高い素材でした。

 鳥類が金などの金属を食べたとき、卵の殻のカルシウムの代わりにそれらの金属を貯め込むようにできれば面白いのにと本気で思っていた時期がありましたね。”金の卵”すなわち「元素置換卵」を産む鳥です。んー、なつかしい。

*1:[http://sankei.jp.msn.com/science/science/101203/scn1012030400000-n1.htm:title=「ヒ素を食べるバクテリア」発見、初の元素置換生物 NASA発表 (1/2ページ)] - MSN産経ニュース

*2:[http://wiredvision.jp/news/201012/2010120322.html:title=「砒素で生きる細菌を発見」の意味] | WIRED VISION