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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

食情報とフードファディズム

 昨日、仙台のアエルで行われた北日本くみあい飼料株式会社様の養鶏セミナーで、群馬大学教育学部の高橋久仁子先生によるご講演があったので聴きに行ってきました。

 高橋先生は、私が以前から拝読していた講談社ブルーバックスの『「食べもの情報」ウソ・ホント』や『「食べもの神話」の落とし穴 』の著者として有名で、日本で初めて「フードファディズム」ということを広く紹介なされた先生です。講演を知った1ヶ月前からその日を楽しみにしていました。

「食べもの情報」ウソ・ホント―氾濫する情報を正しく読み取る (ブルーバックス) 「食べもの神話」の落とし穴―巷にはびこるフードファディズム (ブルーバックス)

 「食情報とフードファディズム」というタイトルでご講演いただきましたが、高橋先生のご講演中のお言葉は、私の心にストンストンと落ちることばかりでした。「食に王道無し」ということを真に実感しました。

 一応、食にまつわる教育・研究を行っている身ですが、先生のご講演中、何度かドキッとさせられました。私自身も食の効果を過剰に信じてしまう「フード・ファディズム」に多少なりとも影響されているということを肌で感じる大変いい機会となりました。

 講演の最後に、高橋先生がおっしゃられたことがまた印象的でした。「今回の私の話も疑ってください」と。

 情報を集め、読み解き、活用するという「情報リテラシー能力」は、「疑うこと」がある意味、その前提にあります。「純粋まっすぐ君」*1が悪いことではないですが、知恵は身に付けさせなければと教育者としては思います。

 講演後の質疑応答で、私が以前から感じており、先生が講演中にも触れていた『危険物質などの「量の概念」を説明する難しさ*2, *3にどう対応したらいいか」ということをご質問させていただきました。

 先生には、「大変難しいことですが、あきらめず頑張って説明していきましょう!」と熱くお答えして頂きました。

 最近、量の概念の分からない方との間には超えられない壁があるのだと自分に言い聞かせようとしましたが、それと同時に、科学者としてきちんとした説明責任は果たさなければというジレンマも感じておりました。先生の答えには勇気を頂いた気がします。

 高橋先生は小さなお体でしたが、「正しい食情報を伝えるんだ」という熱い情熱、使命感に溢れており、大きなパワーを頂いて家路につきました。

 講演後も個人的に先生にご挨拶でき、大変貴重な機会となりました。

*1:[http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20091221/p1:title=あふれる情報に振りまわされないためには] - 食品研究者の夜食日記

*2:[http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20090529/p1:title=「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」] - 食品研究者の夜食日記

*3:[http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20100831/p1:title=”低残留農薬”の農産物はより安全?] - 食品研究者の夜食日記