夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

料理の発明の対価

 先日、ゲストと仙台市一番町の仙台屋さんに行きました。そこでいただいた珍しい料理2品を紹介します。

 もうかの星(サメの心臓)のお刺身
 サメで有名な気仙沼産。ニンニクとポン酢でいただきました。なめらかな馬肉といった味。


 いぶりがっこのクリームチーズはさみ
 秋田の名物であるたくあんの燻製「いぶりがっこ」。横に切り込みを入れ、その間に蔵王のクリームチーズをはさんだ秋田×宮城のコラボおつまみ。

 燻製のスモーキーな香りとクリームチーズコクとたくあんのパリパリ感が一度に味わえます。

 スモークチーズがあるぐらいですから、合うのは理屈ではわかりますが、先入観が邪魔してたくあんとチーズの融合という発想は凡人にはなかなか湧いてこないでしょう。これを最初に考えた人はすごいですね。

 世の中においしい料理はたくさんありますが、それを最初に発明した人の名前がわかっているものはごくごくわずかです。今私が思いつくのは、日本の麻婆豆腐が、陳建民さんによってもたらされたぐらいでしょうか。

 おいしい料理は、その後何百年も引き継がれ、時空を超えて、多くの人を幸せにする”力”をもっています。

 料理で特許をとるのは無理でしょうが、すしやそばの発明は、電気や自動車にも劣らない大発明だと思います。

 私の中で「にぎり寿司を発明した」華屋与兵衛*1、「電球を発明した」トーマス・エジソンよりも”スター”です。

 料理の発明で「相当の対価」を得るのは難しいでしょうが、せめて、おいしい発明した人には最大級の敬意を表したいです。10分ぐらいスタンディングオベーションしたい心境です。

 最後、余談ですが、私はおにぎりの人気具材である「シーチキンマヨネーズ」を世界で初めて作った人間だと自負しています。

*1:[http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20100131/p1:title=料理の履歴書 第1話 にぎり寿司] - 食品研究者の夜食日記