夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

恵方巻きは、バッドマナーではないのか?

 昨日からの続き。

 節分でもう一つちょっとイヤな行事があります。最近、全国的に広まった「恵方巻き」です。

 太巻き一本を、恵方に向かって無言で一気に念じながらかぶりつかなければならないという「恵方巻きルール」は、マナーが悪く感じます。食べ物をリスペクトしているようには思えません。

 ましてや、子供やお年寄りにとっては、太巻きを一気に食べ切らなければいけないというのは、窒息する可能性もあり、大変危険な風習です。

 願いごとは、食べた太巻の断面の綺麗さと具材の美味しさを感じた後に、各自でやっていただきたいものです。

 食の楽しさは、食べ物そのものの美味しさだけでなく、食事中に人と話したり、時間や空間を共有することによって生まれます。

 食は、人と人とのコニュニケーションの場であって、願いごとをする場ではありません。

 日本の伝統行事は大事だと思いますが、節分における「豆まき」や「恵方巻き」には、食べ物を大切にする、食を楽しむということが感じられず、私はこの節分行事が好きになれないのです。


追記:

 本日の夕方、研究室の学生から「手作り恵方巻き」を頂きました。中身がそばチャーハンと薄焼き卵、豚肉などが入った変り種の恵方巻きです。卒論発表に向けた準備で忙しい中、卒論以上にのり巻きづくりをみんなで頑張っていました。

 太巻きにかぶりつき、中身の具材を確認しながら、とても美味しく頂きました。食べている間、思わず「うまい!」と言ってしまいましたが…。

 私の所属する研究室には、本当に気持ちのいい学生達が多いです。彼ら彼女らの将来の幸せを願わずにはいられません。恵方巻きを食べた後、西南西を向いて、卒論発表に向けてこれからも学生をビシビシと熱く指導していくことを誓いました。