夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

豆まきは、食べ物を粗末にしていないか?


 明日は節分です。小さい頃は、家で必ず「豆まき」をしました。

 小さい頃から、古い習慣にいろいろ疑問を抱く子供だったので、「なぜ鬼に豆を投げるのだろう」「鬼は豆をぶつけられたぐらいで本当に逃げるのだろうか」「鬼は金棒を持っているから、豆なんか簡単に跳ね返しそう」「豆ではなく石を投げればいいのに」などと思っていたものです。

 節分の豆まきは、食べ物を投げる行為ですから、それ自体食べ物を粗末にする行為です。

 家の中にまいた豆ならともかく、外にまいて汚れた豆は誰も食べないでしょう。生の豆だったらまいた庭に芽が出て、そこで大豆が採れれば結果オーライでしょうが、豆まきの豆は炒った豆ではないといけないらしいので、庭に大豆が芽を出すということもないですし、豆まきの豆の芽が出ることは縁起が悪いともいわれているようです。

 昔の人は外に投げた豆も拾って食べたのかもしれませんし、また、今は落花生を投げてそれをすべて回収するという人もいるでしょう。しかし、「食べ物を投げる」という行為自体が、食べ物を冒涜するような行為であり、実によろしくない風習だと思います。

 例えば、自分の子供に「食べ物は大切にしなさい」という一方で、「どうして節分のときは豆を投げていいの?」と聞かれたらどう答えたらいいのでしょう。

 豆はまくものではなく、食べるものです。

 同じように、

  • 野球優勝時のビールかけ
  • F1やメジャーリーグでのジャンパンファイト
  • サッカーのチームメイトに生卵をぶつけるブラジル流お祝い

などの食べ物を粗末にする行為を見ると私は不愉快な気分になります。

 実家が食べ物を生産する農家だったことと、小さい時から、食べ物を粗末にすると「もったいないおばけ」がでるということを言われてきたからでしょう。