夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

ゼラチンをコラーゲンというのは、スクラップ部品を自動車というのと同じ

 わが国の健康食品市場は高成長を遂げていましたが、ここ数年はさまざまな規制からマイナス成長となっています。そんな中、コラーゲンは、美容食品の伸びで、ここ数年二桁成長の快進撃を続けています。

 コラーゲンとは、構造的に下の図のような3本のペプチド鎖がらせん状に絡まった高分子のものをいいます。
(画像:Wikipediaより)

 一方、健康食品中に含まれるコラーゲンは、豚や魚の皮膚や骨を水の中で加熱して、高分子がブチブチに切れた断片で、通常「ゼラチン」といいます。

 コラーゲンを自動車に例えるとわかりやすいかもしれません。つまり、自動車(コラーゲン)を解体屋(熱水処理)でバラバラにしたものが、スクラップ部品(ゼラチン)です。

 ゼラチンを「低分子コラーゲン」とか「コラーゲンペプチド」ともいいますが、自動車のスクラップをわざわざ「分解自動車」とか「自動車スクラップ部品」といっているようで、私はしっくりきません。ゼラチンは、ゼラチンです。

 食品として長い間利用されてきたゼラチンを、「ザ・コラーゲン」とか「コラーゲン玉」とか「コラーゲン10000」のように商品名にわざわざコラーゲンを付けるのは、コラーゲンが化粧品に使われていたため、女性にとって「コラーゲン=肌に良い」という認識が広まっているためでしょう。

 健康食品として売られている「コラーゲン食品」をわざわざ購入している方に私は声を大にして言いたいです。

 「コラーゲン入り食品」は所詮「ゼラチン入り食品」ですよ。

 高いお金を払うのなら、ゼラチンで作った「ゼリー」を食べた方が安いですし、「コラーゲンだったもの」を多量に摂取できます。

 コラーゲンを食べることが果たして肌に良いのかという疑問はまた次にでも。