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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

「気持ち悪い」クローン食品をどう扱うのか?

 今日の産経から。

クローン牛は安全か 消費者の7割「気持ち悪い」で再審議へ

 クローン食品を安全と結論づけた内閣府の食品安全委員会に、1カ月で172件の意見が一般から寄せられ、そのうち7割程度が「気持ち悪い」など批判的意見だったことが26日分かった。委員会ではこうした意見に配慮して、下部組織の専門調査会で、安全性評価について再審議を行うことを検討している。
 クローンをめぐっては、消費者の違和感や宗教・倫理面から反対論が根強く、委員会の審議も影響を受けた形になった。

(産経MSN 2009.5.27 01:11)

 食品安全委員会は「科学的な評価」をするだけの機関だと思っていましたが、食品の「感情論」にも踏む込むとは、勇気があります。委員会がどのような再審議をするのか、今後の展開を見守っていきたいと思います。

 また、同じ産経で次のような質問をアンケートをしていました。

【私も言いたい】テーマ「クローン」 安全なら食べる4割

 〔1〕クローン牛や豚の販売に賛成ですか
    37%←YES NO→63%
 〔2〕安全だと証明されればクローン牛や豚を食べられますか
    43%←YES NO→57%
 〔3〕クローン動物生産に倫理や宗教上の問題があると思いますか
    53%←YES NO→47%

(産経MSN 2009.3.27 08:19)

 「クローン牛が安全で、美味しくて、安い」という質問だったら賛成は何%になっていたでしょうか。
 賛成、反対のコメントがこちら。

■感情論でつぶすな
 東京・男子高校生(18)「高品質の食品が低価格で提供されるのは消費者の利益につながるのでよい。ただ、クローン牛を使用した商品には表示義務を課した上で流通させるべきだ。日本が生産基盤を早く確立すれば『クローン日本牛』を売り込むチャンスをつかめるはずだ」
 北海道・男性公務員(41)「科学を無視した情緒的な議論で新技術をつぶさないでほしい」
 アメリカ在住・男性自営業(60)「生物学的に問題があるとは思えない。極端な食糧不足に襲われる危険からクローン牛や豚は天の恵みではないか。反対者は飢えている人が世界にどれだけいるか考えたことがあるのだろうか」
 岐阜・男子大学生(24)「クローンは遺伝子が変容しているのではないので食べ物として問題はない。品質が良い個体のクローンを作ってブランド化し、安定品質の高価な商品として提供するならば利益が出るかも」
 沖縄・男性無職(55)「自己責任で心配なら食べなければよいだけの話だ」
 大阪・女性自営業(60)「安全でおいしい高級牛肉が手に入りやすくなるので、楽しみだ」
 東京・男性会社員(36)「中国製の本物の肉と、日本製のクローン肉だったら、迷わず日本製のクローン肉を食べる」

 ■超えられぬ一線も
 奈良・男性公務員(40)「クローンを作ってまで食を固守するのは倫理的におかしい、生命には超えられないハードルがありルールがある。これを冒涜(ぼうとく)する者には罰が下るのでは」
 カナダ在住・女性会社員(45)「自然の摂理に逆らう食料生産には賛成できない」
 奈良・大学生(21)「食用の動物を都合よく生産するために、種の根幹をなす遺伝子を操作してしまうことが不道徳に感じる」
 広島・男性会社員(47)「松阪牛のクローンが安く手に入るなら食べてみたい。だが、正直気持ち悪い」
 大阪・男性会社員(34)「安全がきっちり証明されれば食べるが、現状では危険すぎるので食べない」
 東京・女子大学生(24)「食べたくないと避けていても、また偽装されて気付かずに食べてしまう日が間違いなく来ると思う」
 岐阜・男性会社員(23)「まずは霞が関の食堂で試食してほしい」
 神奈川・女性パート(44)「今ある食べ物を大切にすれば済む話。遺伝子操作や複製した食べ物など口に入れたくない。ただ、知らない間に口に入ってしまったらどうなるかという不安が常にある」

 果たして、賛成派と反対派は歩み寄れるのか。その溝は、かなり大きいです。

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