夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

日本の新型インフルエンザ騒動は、体のアレルギー反応と似ている

 新型インフルエンザ(H1N1)の国内感染者が増加の一途をたどっており、学校閉鎖や各種行事のキャンセルなど、社会生活に深刻な影響が出ています。

 日本における新型インフルの騒動を見ていると、体の中で起こるアレルギー反応と一緒ではないかとふと思いました。

 アレルギーは、花粉や食物などの本来危険ではないものに対して、過剰な免疫応答反応をしてしまう病気です。

 今の日本の新型インフルエンザに対する社会の反応は、この弱毒性のウイルスに対し、普段と変わらない落ち着いた対応で済ませればいいものを、過剰な反応をしてしまった結果、まるでアレルギー患者の体内で起きているようなオーバーリアクションにより、深刻な社会生活への影響、つまり自分自身へのダメージを招いてしまったように感じます。

 比較すると次のような流れです。

 <アレルギー反応>
 花粉や食物が体内に侵入 → 体の中で過剰な免疫応答 → 自分の体を傷つける

 <新型ウイルスに対する日本人の反応>
 弱毒性ウイルス感染が拡大 → 社会の過剰な恐怖反応 → 社会生活・経済活動を傷つける

 人には、乳児の頃、食べるとアレルギー症状が出ていた卵や牛乳が、大きくなるうちに問題なく食べられるようになることがあります。これは、「免疫寛容」といって、過剰な免疫応答反応を抑制し、体全体のバランスを取るシステムが本来備わっているからです。

 日本の新型インフルエンザ騒動も、体の中で起こる免疫寛容反応のように、国民のインフルエンザに対する過剰な恐怖感情が抑制されることで、社会の正常化が進むでしょう。騒動をあおればあおるほど、結局、自分の体(社会生活)を傷つけることになりますから。