夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

豚インフルエンザ ー「豚テキ定食」の会社を非難するー

 WHOが豚インフルの警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げることを宣言しました。これで、正式に新型インフルエンザの発生が認められたことになりました。ちょっと大変なことになりましたが、私達はより冷静な対応が必要です。

 今のところ、豚肉を扱う食品メーカーや小売業、そして消費者も冷静な対応を取っているようです。ある外食チェーンをのぞいては…。

風評被害対策で豚肉の「安全」PR…流通・食品メーカー

 豚インフルエンザの感染拡大を受け、豚肉を扱う流通や食品メーカー各社などは、「風評被害」が生じないよう対応を急いでいる。

 適切に調理すれば豚肉から人には感染しないとされ、多くの企業は、通常通り、豚肉を使った食品の製造・販売を続ける方針だ。

 イトーヨーカ堂は27日、全国約180店の精肉売り場に豚肉の「安心・安全」を周知するポスターを掲示し始めた。メキシコ産の豚肉は販売していないが、「消費者の不安に応えるための策」(広報)という。

 イオンは、関東の一部店舗でメキシコ産豚肉を販売しているが、「安全に問題はない」として、販売を継続する。現在も通常と変わらない売れ行きという。

 伊藤ハム日本ハムは、原料用などとしてメキシコ産豚肉を輸入しているが、両社とも「仕入れ先を変える考えはない」という。

 一方、農林水産省の佐藤正典官房長は27日の記者会見で、牛丼チェーンの松屋フーズがメキシコ産豚肉を使った「豚テキ定食」の提供を一時中止することに対し、「冷静に対応することが大事だ」と指摘。農水省は同日、外食産業や食品業界に対し、豚肉メニューの販売自粛などの対応を取らないよう文書で要請した。

(2009年4月28日00時21分 読売新聞)

【豚インフル】松屋、「豚テキ定食」の販売中止

 牛丼チェーンの松屋フーズは27日、メキシコ産の豚肉を使った「豚テキ定食」(税込み680円)の販売を同日から一時、中止することを決めた。同社は「政府の基準では安全だが、念のため自主検査し、安全が確認できれば再び販売する」(広報担当)という。
 メキシコ産を使用していない「豚めし」と「豚焼肉定食」については販売を続ける。牛丼店「すき家」を展開するゼンショーも「メキシコ産を使っていない上、メキシコ産豚肉が安全であることは、政府からも見解が表明されている通りだが、お客さまの心象などを考慮した」(広報担当)という。
 牛丼チェーンの吉野家ホールディングスや、日本マクドナルドも同様の理由から豚肉を使用したメニューの販売中止は検討していない。

(産経MSNニュース 2009.4.27 16:28)

 松屋フーズでは、アメリカ産の豚肉は使用していないのでしょうか?メキシコ産だけが狙い撃ちにされていますが、アメリカでも豚インフル感染患者が確認されていますので、アメリカ産も同様の扱いをしなければ筋が通りません。ちなみに、07年度、アメリカから約28万トン、メキシコから約5万トンの豚肉が日本に輸入されています。

 昨日のブログでも書きましたが、松屋フーズのような対応はマスコミに取り上げられやすく、それが誤った情報を広め、やがて風評被害をもたらす可能性が高いです。松屋フーズが実際、「念のためにどのような自主検査し、どのような安全が確認できれば再び販売するのか」私は知りたいところです。一見、安全性に気を遣っている会社のように見えますが、あまり売れなかった商品だけを中止して、都合良く、説明責任から逃げているようにしか私には見えないのです。

 ただ、他の食品メーカーや政府も、豚インフル発生国がアメリカやメキシコなど、日本にとって簡単に豚肉の輸入をストップできる相手ではなかったので、「冷静な判断」をしているだけかもしれません。これがもし、輸入量が圧倒的に少なく、”小さな国”での発生であったら、簡単に輸入ストップのような措置をとっていた可能性は大いにあります。

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