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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

“ねこまんま”の次にくるブームは?

料理・調理 食の未来

 最近ちょっとしたブームの”ねこまんま”。「おとなのねこまんま」という本が10万部近く売れているようです。数年前の”たまごかけごはん”ブーム、さらには金融危機による内食への回帰もあり、今後も超簡単料理ブームがしばらく続くことでしょう。そこで、“ポストねこまんま”を今から考えてみたいと思います。

おとなのねこまんま あったかごはんを極うまに食べる136

おとなのねこまんま あったかごはんを極うまに食べる136

 “たまごかけごはん”も“ねこまんま”は、なんといっても「安い、簡単、うまい」という最強の3トップをそろえています。「これらがはたして料理なのか」という問題は別として、料理をしたことのない子供や男性でも誰にでも作れるというのがゴール量産の要因でしょう。

 もう一つ、簡単料理のキーポインントが、「自分の色が出せる」ことです。好きなトッピングをごはんに乗せることで、ちょっとした自分だけのオリジナル感が楽しめます。また、バリエーションを増やすことですぐに飽きてしまうということもなくなります。

 これらの要因を踏まえると、今後のブームになるであろう超簡単料理の骨格が見えてきます。

超簡単料理の法則1:基本はやはりごはん
 料理のベースとなるのは、パンでも、パスタでもなく、日本人はやはり“ごはん”でしょう。一人暮らしを始めた新入学生の場合、自炊の第一歩は、まずご飯を炊けるようになることです。米は“洗う”のではなく“研ぐ”ということが分れば、料理ビギナー卒業です。

超簡単料理の法則2:「安単旨」+自分色
 レジャーの楽しみ方が「安近短」化しているように、自分の家で作る料理も「安い!簡単!うまい!」化が基本で、それプラスちょっと自分で工夫ができる余地があることが大切です。

超簡単料理の法則3:ちょい「懐かしさ」とちょい「斬新さ」
 たまごかけごはんのように、昔食べていたことを思い出させる「懐かしさ」や「ノスタルジー」を感じさせることや、ねこまんまのように、「こんなものをかけて、おいしいの?」というある種の「斬新さ」が、作りたいという心をくすぐります。

 以上を踏まえて私が考える次世代の超簡単料理は、ずばり「調味料ごはん」です。

 ごはんに醤油やマヨネーズなどの調味料をかけただけの料理です。一人暮らしで、お金が無く、家に米だけがあったとき、冷蔵庫にたまたまあった調味料をごはんにかけて食べたことのある男性諸君は多いことでしょう。とても人に見せられる料理ではないですが、確実にたまごかけごはんやねこまんまよりも「安く」 「簡単」で 、そして意外と「おいしい」のです。私もお金が無い学生時代、“焼き肉のたれごはん”にはだいぶお世話になりました。

 またごはんにかける調味料の組み合わせを工夫することによって、無限の味が作り出せます。私が以前トライした「マヨネーズ+醤油+七味」ごはんは、かなり後を引くおいしさです。

 しかし、「調味料ごはん」は他の人がいる前では決して作ってはいけない“料理”でしょう。表舞台に決して登場させてはいけない、一人の時にだけ楽しむ“禁断の料理”です。

 家族団らんの場で「調味料ごはん」などはもってのほかです。公の場で「調味料ごはん」を作ることや、未成年が「調味料ごはん」を食べることなどは、国が法律で禁止してしまうぐらいの措置が必要です。

 たまごかけごはん専用の醤油が発売されているように、ひょっとしたら数年後に、ごはんにただかける専用の醤油やマヨネーズが登場してかもしれません。