夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

WBC決勝戦前夜にイチローが食べたもの

 いやー、WBC決勝、生中継で見たかったですね。もしくは、ドジャー・スタジアムに行って、直に試合を見たかったです。

 最後の主役はやはりイチローでした。私はイチローの試合後のコメントにぐっときました。

 決勝タイムリーを放ったイチロー外野手(35=マリナーズ)の試合後のコメント。


 「やあ、もう苦しいところから始まって、苦しいがつらいになって、心が痛んで、最終的に笑顔になった。日本のファンの人たちに笑顔が届けられて最高です」。

 試合後ドジャースタジアムを大きな日の丸を持って1周。

 「気持ち良かったですねえ。ほぼ、いきかけました。日本のすべての方に感謝したい」。

 10回の決勝タイムリーについて。

 「僕は持ってますね。神が降りてきたという感じ。日本中のみんなが注目しているだろうと思って、自分の中で実況して、普段は結果が出ないんだけど、それで結果が出て、壁を越えたと思います」。


(日刊スポーツ 2009年3月24日16時35分)

 もし、あの延長の場面で凡退し、最後韓国に逆転されて負けていたら、イチローは確実に戦犯扱いされていたでしょう。これまでの試合でも肝心なところでヒットが出ず、相当叩かれていましたから。

 コメント中に”苦しい”、”つらい”、”心が痛んで”という言葉が並んでいることからも、相当精神的に悩まされていたことが分かります。しかし、驚くべきことは、延長のあのプレッシャーのかかる場面でも「日本中のみんなが注目しているだろうと思って」と感じ打席に入っていることです。そんなことを思ったらよけいプレッシャーがかかるはずですが、あえてそうしたことができるのがイチローのすごさではないでしょうか。

 プレッシャーとまともに面と向かうのは精神的に相当タフか、相当鈍感でないとできないことです。イチローもプレッシャーと対峙して、必ずしも克服してきた訳ではないことがコメントからもわかります。しかし、本人が「壁を越えたと思います」と言っていることから、今回の決勝点の打席は、イチローにとって今後のターニングポイントになる打席ではないでしょうか。

 原監督も「イチローのセンター前というのは生涯忘れないでしょう」と言っているように、大げさかもしれませんが歴史的な瞬間に今まさに立ち会ったのような感じがします。今後も「イチローウォッチング」は止められそうにありません。


 このブログは食ブログでしたので、食に関することも書かなければなりません。

 イチローが大事な決勝戦前日に何を食べていたかというと、野手15人を引き連れてロサンゼルスの焼肉店に行ったそうです*1。一方、松坂は米国入りしたときに藤川ら投手7人をすし屋に招待したとのこと*2。野手陣が肉で、投手陣が魚というのが何となく面白いです。どちらも、いい決起集会だったのでしょう。

 

*1:[http://www.sanspo.com/baseball/news/090323/bsr0903230506012-n1.htm:title=イチロー借り返す!焼肉決起集会で侍団結]

*2:[http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/mlb/news/CK2009031102000129.html:title=松坂、米国入り即決起集会!! 藤川ら7人の侍をすしで“接待”]