夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

レッドブルは渡り鳥、リポビタンDは飛べない鳥

 年度末、締め切りがある仕事が複数あって、何かと時間に追われている毎日です。

 最近、毎朝飲むエナジードリンク「レッドブル」がお気に入りです。

 レッドブルはここ数年前くらいからコンビニなどで見かけはじめましたが、リポビタンDなどの栄養ドリンクが圧倒的なシェアをもち、商品の入れ替わりが激しい日本では一瞬で消えていくのではないかとはじめ思っていました。しかし、現在までかなり健闘しているといえるでしょう。缶の大きさも手頃なサイズになったのも、生き残っている要因の一つではないでしょうか。

 はじめて私がレッドブルを見たのは、北米のある国でしたが、いわゆる栄養ドリンクというジャンル自体が成熟していない国でしたので、先駆者レッドブルの一人勝ち状態でした。現に、世界のエナジードリンク分野で、レッドブルは圧倒的なシェアを持っています。栄養ドリンク先進国である日本のリポビタンDなどが、世界に進出していったら相当受けいられる余地があるのではないのかとその時強く感じたことを覚えています。

 このレッドブルWikipediaを見たら、発祥はタイでその開発の着想はなんと日本のリポビタンDから得ているとのこと。レッドブルを広めたオーストリア人は、その販売により世界的な富豪になっています。

 日本国内では圧倒的な支持をもつリポビタンDですが、日本企業に特徴的な内向き製品であったことが、世界に羽ばたいたレッドブルとの大きな違いでしょう。立派な羽を持っているリポビタンDですが、ダチョウやエミューのように空に飛ぶための羽ではなかったということです。いい製品だけに、「おしいなあ」と感じます。